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インフィニット・ストラトス〜黒き守護者〜
もう一人は……
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…でも、普通女装なんてする?」
「もしかして、実は趣味とか?」

 そんなわけないだろうが。





 ■■■





「―――であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は、刑法によって罰せられ―――」

 俺は自作した参考書を照らし合わせて自分が纏めた物が正しいかを確かめる。よかった。今のところはミスはない。
 だが、もう一人―――織斑の方はそうでもないらしい。
 隣の女子に聞いて断り、山田先生はそのやり取りに気づいたようだ。

「織斑くん、何かわからないところがありますか?」
「あ、えっと……」

 そして手元の何かを見たらしいが、どうやらわかっていないみたいだ。

「わからないところがあったら聞いてくださいね。なにせ私は先生ですから」

 少しは自分の胸を見ろ。俺たち青少年には目に毒だ。

「先生!」
「はい、織斑くん!」
「ほとんど全部わかりません」

 ………まさかの発言に、俺は一緒にされたくないと思った。

「え……。ぜ、全部、ですか……?」

 彼女はやはりこういう時の対応は想定していなかったみたいだ。

「え、えっと……織斑くん以外で、今の段階でわからないっていう人はどれくらいいますか?」

 もちろん、そんな人間はいなかった。
 それを見かねたのか、織斑先生が声をかけた。

「……織斑、入学前の参考書は読んだか?」
「古い電話帳と間違えて捨てました」

 ―――パアンッ!

 表紙に大きく『必読』と書かれてあっただろうに………。

「あとで再発行してやるから一週間以内に覚えろ。いいな」
「い、いや、一週間であの分厚さはちょっと……」
「やれと言っている」
「……はい。やります」

 すごく睨まれていた。どうやら織斑先生は身内には厳しいみたいだ。

「風宮。悪いがこいつに―――」

 俺は言葉を最後まで聞かずに立ち上がって自分の参考書を織斑の頭に置く。

「これを使って勉強しろ」
「あ、サンキュー。でも、お前は―――」
「俺はお前と違って全部読み終えたからいいんだよ。では、失礼します」

 両先生に一礼し席にに戻った。殴られないということは正しい判断だったのだろう。

「ISはその機動性、攻撃力、制圧力と過去の兵器を遥かに凌ぐ。そういった『兵器』を深く知らずに扱えば必ず事故が起こる。そうしないための基礎知識と訓練だ。理解ができなくても覚えろ。そして守れ。規則とはそういうものだ」

 織斑先生の言うとおりですね。
 そしてその後に俺が織斑を教えることになった。
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