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突然いなくなった理由
第三章

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「凄くね」
「素晴らしいことだな」
「ルイは立派なことをしたわ」
「そうよね、困っている娘を助けるなんてね」
「クゥ〜〜〜ン」
 そのルイを見つつ微笑んで言った、ルイは今は力なく鳴くだけだった。
 救助とその為の行き来にかなりの体力を使ってかルイは暫くぐったりとしていた、それで一家も心配になった。
「大丈夫かしら」
「かなり体力と使った様だしな」
「もう歳だしね」
 一家でどうなるかと心配になった、だが。
 ある日ルイの首輪に手紙を添えてくれたロブ=オコナーが家を訪問してきた、農業をやっている黒髪の大柄な中年男だ。
「やあ、お邪魔しました」
「貴方がロブさんですね」
「こちらのルイに愛犬を助けてもらった」
 オコナーはマロリンに笑顔で答えた。
「ロブ=オコナーです」
「左様ですか」
「それで今日はあらためてお礼に来まして」 
 オコナーは自分が訪問した理由も話した。
「ルイにも挨拶をしたいですが」
「ルイは今元気がないですが宜しいでしょうか」   
 マロリンは暗い顔で答えた。
「それでも」
「うちの娘にどうしても」
「そうですか、それでは」
 マロリンも頷いてだった。
 そのうえで実際に彼とマディクリーム色の長い毛の小型の雌犬の彼女をルイのところに案内した、ルイは今も寝ていたが。
「ワンワン!」
「ワン?」
 マディの訪問を受けて彼女から顔を舐められるとだった、元気を取り戻した、流石に高齢なので動き回らないが。
 立ち上がって歩きだした、マロリンはその彼を見て思わず笑顔になった。
「さっきまでぐったりしていたのに」
「マディにお礼を言われて元気が出たみたいですね」
 オコナーもルイを見て笑顔で応えた。
「その様ですね」
「そうですね、いやよかったです」
「マディが来てくれて」
「はい、ルイもそうなって」
「私もよかったです」
 オコナーも言ってきた。
「マディを助けてくれた子が元気になって」
「それで、ですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「よかったです」
「そうですね、では」
 オコナーはあらためて言った。
「またお邪魔してです」
「ルイにマディを会わせてくれますか」
「そうさせて頂いて宜しいでしょうか」
「はい」
 笑顔での返事だった。
「お願いします」
「それでは」 
 オコナーも笑顔で応えた、そうしてだった。
 彼はマロリンの両親とも話してマディを定期的に連れて来ることを約束した。見ればルイは元気になっていた。マディと会って。


突然いなくなった理由   完


                    2023・7・26
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