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仮面ライダーカブト 明日のその先へ
第三十五章
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「光があればできる」
「人間の光があれば」
「戯言を」
「ではその光を持ってスサノオに」
 二人は遂に限界を迎えた。そのまま二人して前に倒れ込んでいく。
「敗れるがいい」
「敗れるがいい」
 そうして爆発して光の中に消えた。矢車と影山は何とかその二人の乃木を倒したのであった。
「兄貴、これで」
「ああ、俺達は光を掴めるんだ」
 二人は顔を見合わせてこう言い合う。
「これからも戦うことになるがな」
「俺はそれでもいい」
 影山は少し俯いて矢車に述べる。その時日に雲が僅かにかかった。
「何故だ?」
「兄貴と一緒だからだ。俺達はずっと」
「ああ」
 その雲が消えた。またそのままの光になった。だがそれは決して強い光ではない。そう、それは白夜に近いものだった。そうした光だった。
「一緒だ、いいな」
 彼等は田所達のフォローに向かう。光を掴もうとする彼等には最早過去のしがらみもどうでもいいことになってしまっていた。
 
 風間と麗奈の闘いは静かだった。間合いを離し互いに遠距離から攻撃を浴びせ合うだけだった。
 静かな戦いだった。風間には迷いが見られた。
「大介さん、どうして」
「麗奈さん、あの時は」
 風間は苦渋に満ちた声で麗奈に返す。銃を持ち構えるその手が震えている。
「あの時のことは」
「忘れられませんか」
「はい」
 その震える声で答える。
「貴女を愛していました。だから」
「それは間宮麗奈としてですね」
「勿論です」
 彼はまた答える。声をそのままに。
「それは今も」
「ですが間宮麗奈は死んだのです」
 ウカワームの姿である。それは今嫌になる程わかるものだった。
「このウカワームに殺されたのです」
「しかし貴女の意識はまだ残っています」
「この世の意識は何時か消え去るもの」
 麗奈は風間にそう告げる。
「永遠ではありません。ですが」
「ですが?」
「私にはウカワームとしてでなく間宮麗奈としての居場所があります」
「それは一体」
「貴方の中です」
 麗奈は攻撃を止めた風間に対して述べる。
「俺の中に」
「そう。だから」
 麗奈の顔が見えた。そう感じた。
「早く私を。そのまま」
「あの時と同じように」
「そうです、私は間宮麗奈としてこの世を去り」
 人としての願いだった。彼女は確かに人だった。
「間宮麗奈として貴方の中に永遠に生きたい。ですから」
「わかりました」
 少し俯き苦い顔をしながらそれに頷いた。
「それでは」
 照準を合わせる。躊躇いは残っていたがそれでも合わせた。
「ライダーシューティング」
「ライダーシューティング」
 電子音も響き巨大な光の弾が放たれる。それはウカワームを撃ち砕き爆発の中に消し去った。
「さようなら。大介さん」

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