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仮面ライダーカブト 明日のその先へ
第二十七章
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「この店。どっちも凄く美味いんだ」
 それはまた相川にとって縁のある人物であった。かつてはストリートミュージシャンで今は音楽プロデューサーをしている一之瀬仁であった。紆余曲折を経て結局は父の跡を継ぎ今の職になったのである。若いながら独創性に富んだアイディアの持ち主として知られている。
「だからさ。ここで一服して」
「それでまたですね」
「うん、それでいいね」
 後ろにいるスタッフ達にそう声をかけていた。
「それでまた撮ろう」
「わかりました」
「じゃあたこ焼きと鯛焼きで・・・・・・あれ」
 ここで彼は相川達に気付いた。彼と相川の目が完全に合った。
「あんた、まさか」
「話は聞いていた」
 相川はそう仁に言葉を返す。じっと彼を見据えている。
「頑張ってるようだな」
「あんた・・・・・・いや」
 仁は何かを言おうとしたが彼の目を見て気付いた。相川の目を見てそれに気付いたのだ。彼の目は時折瞬きをして様々に変わる光があった。そういったものを見て彼は今の相川についてわかったのだった。
「兄貴。元気そうだな」
「ああ」
 相川は仁のその言葉に頷く。
「あれから色々とあった」
「そうみたいだな。顔が変わったよ」
「今も言われた」
「穏やかになって。人間になったんだな」
「そうだ」
 仁のその言葉に頷く。
「あの時は済まなかった。俺のせいで」
「いや、もういいさ」
 仁は相川の謝罪に一旦顔を俯けさせてから述べたのだった。あの時の相川と一緒にいた時間は彼にとっても苦いものの多いものだったのだ。
「俺もあの時は。御免」
「いい」
 相川もそれはいいと言った。彼もそれは同じだったのだ。
「御前も俺も。あの時は」
「それでまたここで出会うなんてな」
「縁かもな」
 そう仁に言う。
「俺達が今ここで会ったのは」
「そうかもな。また兄貴と呼んだけれど」
「縁があればまた会う」
「ああ。ところで兄貴」
「何だ?」
 行きかけたところで動きを止める。そこから彼の方に振り向いた。
「まだあの喫茶店にいるんだよな」
「カメラマンをしながらな」
 そう彼に答える。彼は今もカメラマンをしている。実際はワームとの戦いで半ばボードの一員であったが。住んでいるのは相変わらずハカランダである。
「そうなのか。また来ていいよな」
「ああ、何時でもな」
「けれど。いない時多いよな」
 仁は少し残念そうな笑みを浮かべてきた。彼がライダーであることを知っているからだ。ライダーに休息はない。都市伝説では常に敵と戦っていると言われているのだ。
「やっぱり」
「それはな。しかしいる時はちゃんとあるからな」
「運がよかったらだな」
「そうだな。運がよかったらな」
「ああ、また」
 二人は微笑みで別れた。相川にとっては
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