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遅れそうな時は訳を話せ
第二章

[8]前話
「人助けはいいことだ、むしろ無視する方がだ」
「駄目ですか」
「そうだ、ただ帰ったら言うことがある」
 ここで久保は強い声で言ってきた。
「君が会社に帰ったらな」
「それは何ですか?」
「その時に話す、兎に角今はだ」
「取引先にですね」
「急いでくれ」
「わかりました」
 小林は強い声で頷いた、そして駆け足でそちらに向かいだし。
 すぐに傍にタクシーが見えたのでそれを捕まえて取引先に向かった、幸い取引先との約束の時間には間に合った。
 取引の話は無事に終わり彼は会社に帰った、すると。
 久保は小林に対して自分の席に座ったまま立っている彼に言った。
「ああした時はすぐに君から連絡してくれ」
「何があったのか」
「言ったな、人助けはいい」
 このことはというのだ。
「無条件でな、むしろそうしない人こそだ」
「問題ですか」
「そうだ、しかしな」
 それでもというのだ。
「私が携帯をかけるまで君は連絡してこなかったな」
「それが問題ですか」
「遅れそうな事情が出来たならな」
「それが人助けでもですか」
「何でもな、必ずだ」
「連絡することですか」
「君からな、これも仕事の一つだ」
 こう言うのだった。
「ホウレンソウだ」
「報告、連絡、相談ですね」
「それのうちだからな」 
 それ故にというのだ。
「いいな」
「またこうしたことがあったら」
「私に連絡するんだ、いいな」
「わかりました」
 小林薄暮の言葉に頷いた、そうしてだった。
 彼は実際にそれから久保への報告、連絡、相談を万全にする様になった。するとよりよく仕事が出来る様になった。思わぬ人助けから彼が学んだことである。


遅れそうな時は訳を話せ   完


                   2023・7・17
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