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私の 辛かった気持ちもわかってよー
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 桔梗の入学式の日。グレー系のチェックのプリーツスカートに濃紺のブレザー、襟元はえんじ色のスカーフとオーソドックスな女子高生だった。お母さんは薄いブルーの着物で一応紋付なのだ。

 私の学校も入学式で、新入生の勧誘をしなければと、早々に家を出てきた。一応、練習は休みなんだけど、式が終わるまで、グラウンドの整備と周りの草むしりをしていたのだ。3年生は勧誘用のポスターとか看板を作っていた。

「麗香 今年の入学の子の情報調べたの?」

「あのね 学生課に行ったんだけど・・・個人情報だから見せられないって言われて、駄目だったの」

「あっ そうかー 去年は璃々香先輩 ウチの名前 見たんだってー 厳しくなってんだねー」

 勧誘の場所は、去年と同じ、卓球部の隣りだったんだけど、式を終えて出て来る新入生は運動部にはあんまり感心が無いようで、どこのクラブにも立ち止まる女の子は少なかったのだ。京都府高校選手権 優勝と大袈裟に書いてあった張り紙もむなしかったのだ。その中でもダンス部だけは、いつも誰かが居たのだ。

 ようやく、2人 立ち止まったと思ったら、音女の中学部でテニス部の子だった。

「私達 岸森先輩にあこがれてたんです 一緒に出来るなんて 夢みたい よろしくお願いしま〜す」と、璃々香先輩に駆け寄っていた。

「えぇ あなた達 テニス部 入ってくれるの?」と、少し、押されていたみたい。

「はい! 先輩 高校選手権の時 恰好良かったワ あのダブルスの決勝見ました すごかったですね ボレーで相手寄せ付けなかった」

「えっ うん 見てくれてたの?」

「もちろんです! 私達も先輩のようになりたい 音女のエースですもんね」

 あのさー ウチのあの時の活躍 見てへんのー ・・・ 璃々香先輩だけちゃうやろー ダブルスやでー 私のことは一言も無かったので、カチンと来ていたのだ。

「山葵 そーいうとこ 子供っぽいんや 今 おもろない気分なんやろー 傍からみててもわかるワー 世間ってそんなことあるんやでー 頑張っても見ててくれない人も居るんだよ! くされない!」と、みく美が耳元で囁いてくれていたのだ。

 その日の夕方は、桔梗の入学祝いでと、晩御飯はステーキだった。今晩は予約のお客様が居ないので、お父さんが揃っていたのだけど、先に、お父さんと桔梗にサーロインが・・・冷めないうちに食べ始めていて

「うー おいしいぃー ウチ この脂身と赤身の境目のとこが好き! トロッとして、少しコリッとするんよねー」と、桔梗が言っていて、私も、早くぅーと思っていたら、出てきたのは、赤身肉のステーキ。

「なんで ウチのは サーロインちゃうん?」それも、サーロインに比べて小さいのだ。

「あらっ 山葵は太るからって 脂身 食べな
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