暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第161話:その身に流れる血を誇りにして
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 カリオストロを辛くも退けた颯人達は、一旦後方へと戻ってきていた。マリア達が避難させた農家の老婆の事も心配だったし、早くも結社の幹部がこの地にやってきた事は警戒すべき事態だからだ。

 現状、あの後敵が何らかのアクションを起こす事は無く、松代周辺は不気味なほどの静けさに包まれていた。
 そんな中で、颯人はトレーラー内の即席指令室のソファーに横になって帽子をアイマスク代わりに仮眠を取っていた。

 誰もが緊張感と共に動いている中、1人暢気に寝ている颯人にガルドはその神経の図太さに呆れ半分関心半分と言った目を向けていた。

「よくこんな状況で寝れるな。何時敵が再度攻撃を仕掛けてこないとも限らないのに」
〔大物なんですよ〕
「そうだろうか?」

 透の評価に対しガルドは半信半疑と言った様子だ。

 するとアルドがやって来て、寝ている颯人に毛布を被せてやった。

「とは言え、休む事も大事なのは間違いありません。特に颯人は、先日危険な目に遭った訳ですし」
「あぁ、あのレギオンとか言う奴な。そう言えば、結局どうなったんだ?」
〔ウィズさんが追いかけた筈ですが?〕

 あの戦いの後、ウィズは即座にレギオンファントムの追撃に移った。奴はあの場で逃がすには危険すぎる相手。再度攻撃を仕掛けてくるにせよ、別の人間に狙いを定めるにせよ、どちらにしても放置する訳にはいかない。

 気になったガルドと透からの問い掛けに対し、アルドは溜め息と共に首を左右に振った。

「残念ながら、逃がしてしまったようです。先程見失ったと連絡がありました」
「となると、アイツにも警戒しなきゃならないのか。こりゃ面倒だぞ……」

 パヴァリア光明結社からの襲撃に加えて、レギオンファントムに対しても警戒しなければならない現状にガルドは苦い顔をした。一方透はと言うと、話の途中からどこか上の空な感じで虚空を見つめている。その事に気付いたアルドは、彼の考えている事を見抜き静かに指摘した。

「まだ、クリスさんと仲違いしている事で悩んでいるのですか?」
「ッ!?」

 アルドの指摘に透は肩をビクンと震わせ彼女の方を見る。今回ばかりは言葉も筆談も無く彼の考えている事が分かった。

 何故分かったのか。彼の顔はそう語っていた。

 慄く透に対し、隣のガルドも仕方ないと言いたげに溜め息を吐いた。

「トオル、まだクリスと話をしていないのか?」

 あれからそれなりに時間が経っているにも拘らず、透は未だにクリスと距離が離れたままだ。それは今この場に彼が居る事が何よりも雄弁に物語っている。現在マリア達元F.I.S.組の3人を除く装者は全員周辺警戒に動いているが、普段の透であれば何かと理由を付けてちょくちょくクリスの元へと向かっている筈だった。例えば飲
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