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【眼帯】の錬成師
第三話
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月曜日。それは一週間の内で最も憂鬱ゆううつな始まりの日。きっと大多数の人が、これからの一週間に溜息を吐き、前日までの天国を想ってしまう。



 そして、それは僕こと南雲ハジメも例外ではなかった。ただし、僕の場合、単に面倒というだけでなく、学校の居心地がすこぶる付きで悪いが故の憂鬱さが多分に含まれているのだ。



 僕は、いつものように始業チャイムがなるギリギリに登校し、教室の扉を開けた。



 その瞬間、教室の男子生徒の大半から舌打ちやら睨みやらを頂戴する。女子生徒も友好的な表情をする者はいない。無関心ならまだいい方で、あからさまに侮蔑の表情を向ける者もいる。


( 全く僕が、一体何をしたというのだよ……。 )



 極力意識しないように自席へ向かう。しかし、毎度のことながらちょっかいを出してくる者がいる。



「よぉ、キモオタ! また、徹夜でゲームか? どうせエロゲやエロ本、エロアニメでもしてたんだろ?」


「うわっ、キモ〜。エロで徹夜とかマジキモイじゃん〜」



 一体何が面白いのかゲラゲラと笑い出す男子生徒達。



 声を掛けてきたのは檜山大介といい、毎日飽きもせず日課のように僕に絡んでくる生徒の筆頭だ。近くでバカ笑いをしているのは斎藤良樹、近藤礼一、中野信治の三人で、大体この四人が頻繁に絡んでくる。



 確かに檜山君の言う通り、僕はオタクなのかもしれない。今生の両親は二人とも生粋のオタクだしその環境で育てば自然とそうなるだろうし、前世の趣味も加味し本の虫だからそう思われてもおかしくないだろう。

だけどキモオタと罵られるほど身だしなみや言動が見苦しくはしているつもりはないし。髪は短めに切り揃えているし寝癖もない。コミュ障という訳でもないから積極性こそないものの受け答えは明瞭だ。大人しくはあるが陰気さは感じさせない。単純に創作物、漫画や小説、ゲームや映画というものが好きなだけだ。



 世間一般ではオタクに対する風当たりは確かに強くはあるが、本来なら嘲笑程度はあれど、ここまで敵愾心を持たれることはない。では、なぜ男子生徒全員が敵意や侮蔑をあらわにするのか。



 その答えが彼女だ。



「南雲くん、おはよう! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」



 ニコニコと微笑みながら一人の女子生徒がハジメのもとに歩み寄った。

このクラス、いや学校でもハジメにフレンドリーに接してくれる数少ない例外であり、この事態の原因でもある。



 名を白崎香織という。学校で二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇る途轍とてつもない美少女だ。腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通
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