プロローグ
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（ ああ……傷口から止めどなく血が溢れでている………。至る所にある傷口が熱い……。これは死んだなあ……。ああ……、意識が……意識が……朦朧としてきた……。そろそろ僕は死ぬのかな……？漸くこの身体から解放されるのか……。もう人を食べなくてもいい……。もう、苦しい思いをしなくていいんだ……。ああ……、人間の味覚を取り戻して、もう一度美味しい食事を食べたかったなあ……。 ）
（ もしも……、もしも……、来世があるのだとしたら……、今世とは違いもっと幸せな暮らしをしたいなあ……。来世では、今世のような人生にならないよう相手の事をしっかりと見て騙されないようにしないとな……。あと、あの人に負けないぐらいの強さをつけないと……。もし、またこの世に生まれるのだとしたら……、今度こそは自分の手で全てを守るんだ……。
もう誰一人として失いたくない……。 ）
日本の首都、東京の地下に広がる地下空間で、白い髪の毛の青年――――金木研は仰向けに倒れながらそう思った。
体中に激痛がする上に、左目からはまるで刃か何かで貫かれたような痛みが走っている。もう指の一本も動かす事ができない。普通の人間ならばすでに死んでいるが、金木研は死んでいなかった。
それは何故か。理由は単純。金木研が普通の人間ではないからだ。
喰種グール。人間の体を簡単に貫く筋力に、刃物などを通さない強靭な体、そして赫子と呼ばれる捕食器官を持つ人類の天敵である。金木研も、その喰種の一人だった。
とは言っても金木はある事情で喰種の臓器を移植された存在――――隻眼の喰種と言う存在であり、正確には半分人間半分喰種という方が正しい。
そして喰種は再生能力も高いので、大抵の怪我ならばすぐに治るのだが、ここまで深手だと再生するのにかなりの時間がかかる。
それに、仮にこの怪我が治ったとしても、彼は生きて地上に上がれない事を察していた。
その理由が、彼にゆっくりと近づいてきていた。
「――――IXAイグザの防御壁を、損傷させるとは思わなかった」
それは、男性だった。
白いコートを身に纏い、眼鏡をかけている。その髪の毛は金木と同じような白髪だった。
有馬貴将。
人を食らう喰種を狩る組織、CCGにおいて彼はこう呼ばれている。
CCGの白い死神。無敗の喰種捜査官。
それが、彼……有馬を表す代名詞だった。
その名にふさわしく、この地下空間には大量の喰種の死体が転がっている。
全て、有馬が駆逐した喰種だった。
「クインケが壊れてしまった。……そうだな。新しいクインケが、いる」
倒れている金木のそばに歩み寄って
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