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奇才と天才は目を瞑る
妹が生まれた日

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 僕への愛の言葉は、突然となくなった。

一年中寒いこの村で、新しい命が生まれて、その子の名前はエマという。
この子は僕の妹で、唯一の相思相愛だ。
ママもパパも、僕にくれる愛の言葉はなんだか薄っぺらいように感じていた。なんとなくだけれど、そう思っていた。けれど、エマに言う「愛してる」は、とても心がこもっていたから、僕はエマが生まれるまでのダミーだったのだなと、八歳にして気づいたんだ。

 僕は、魔法が使えた。
少し同じ年の魔法が使える子たちに比べたら、早く上達した。でも、それだけだったら、よかったんだ。ママとパパを、確実に遠ざけた理由はきっと、「奇才」だったから。
魔法には、本来呪文が必要で、長ったらしい言葉を並べて使うんだけれど、僕の魔法はそうじゃない。魔法を使う時、周りに精霊が集まってくる。その子たちは「何をする」「何して遊ぶ?」と聞いてくるから、頭の中で思い描いた、素敵な空想を「魔法」にした。それがいけなかったようで。
それを目にしたパパは、僕を部屋の中へ閉じ込めて、僕が外に出れないよう、鍵をかけた。だから、外へは出れなくて、その部屋にあった紙とペンで、一日中絵を描いていることになった。

その後すぐに、エマが生まれた。

 この時から、何かがきっと、狂ったんだ。


 
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