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二次元アイドルに夢中になっても
第一章

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              二次元アイドルに夢中になっても
 沖縄修司は妻の沙知絵と共にショッピングモールでブティックの店を開いている。店の売り上げは上々であるが。
 最近彼は妻にプライベートのことでやや白い目で見られていた、それは何故かというと。
「ブイチューバーの霞弥生ちゃん?」
「これが最高なんだよ」
 彼は妻にでれでれした顔で答えた、きりっとしている筈の目も引き締まっている筈の口元も今は筈、である。かなりだらしなくなっていてそれは眉も同じだ。真ん中で分けた茶色がかったふわりとした髪の毛と一七七位の背ですらりとしたスタイルはそのままだ、その彼が言うのだった。
「可愛くて仕草も最高でさ」
「歌もなのね」
「ああ、自分で作詞作曲しているんだけれど」 
 ユーチューブの彼女のチャンネルをスマートフォンで確認しつつ話した。
「どの曲もなんだよ」
「いいのね」
「最高なんだよ、ステージでのライブなんかな」
 自分の前でどうかという顔でいる妻に話した、見れば妻は大きなはっきりとした二重の目に形のいいすっきりとした顔の形をしている。唇はピンクで小さく色白で波がかった黒髪は長く胸は九十以上あってウエストは引き締まり安産型だ。背は一六〇程である。
「きらきらしてるんだよ」
「そうなのね」
「だから今日のライブ配信も観るよ」
「それはいいけれど」
 妻は仕事の休み時間に言う夫に突っ込みを入れた。
「本物じゃないでしょ」
「二次元だよ」
 夫は自分から言った。
「弥生ちゃんはな」
「そうよね、二次元なら」
 それならというのだ。
「そんなね」
「熱中してもか」
「あまり意味ないでしょ」
「じゃあお前アニメのキャラとかで好きなキャラいないのかよ」
「そう言われるといるけれど」
 沙知絵は修司に答えた。
「私だってね」
「そうだろ、それと同じだよ」
「ヴイチューバーのアイドルでもなのね」
「いいんだよ、だから今夜のライブ配信はな」
「絶対に観るのね」
「今度のオフ会にも出るな」
「お仕事の日じゃないわよね」
「当たり前だろ、働かないと負けだろ」
 これが夫の返答だった。
「だからな」
「オフ会の日はお仕事ないのね」
「仕事終わってから行くよ」
 こうも言うのだった。
「そうするからな」
「結局お仕事ある日じゃない」
「だから終わってからだよ」
「やれやれよ」
 妻の目は変わらなかった、兎角だった。
 修司は今はその二次元アイドルに夢中だった、毎日動画を配信してグッズも買っていた。だが夜は。
 自宅で同じベッドで寝ている妻に週三回はだった。
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