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死んだと聞いても何も
第二章

[8]前話
「あんな連中だからな」
「ああなったら終わりだな」
「人間としてな」
 親子でそんな話をした、それから暫く経ってだった。
 文太は洋介そして妻の百合子に話した。
「あの二人死んだぞ」
「ああ、そうか」
「遂にそうなったのね」
「死後半年位経ってな」
 そうしてというのだ。
「見付かった、家の中でそれぞれ骨になっていたらしい」
「腐ってそしてなのね」
 妻は夫の話を聞いて言った。
「やっと見付かったのね」
「本家さんが一年に一度の状況確認に行ったらな」
「その時になのね」
「わかったんだ、それでな」
「もう全部処理されるのね」
「色々な、あの家は取り壊されてな」 
 そうなってというのだ。
「一旦空き地になるそうだ」
「そうなるのね」
「ああ、それで二人とも無縁仏で葬られるそうだ」
 文太はこのことも話した。
「だからもうな」
「終わりね」
「これでな」
「そうなのね」
「兎に角あの二人はもう死んだ」
 家族に素っ気なく言った。
「そういうことでな」
「わかったわ」
「俺もだよ、一応ふわりにも言っておくか」 
 洋介は父に素っ気なく応えてからだった。
 そのうえでふわりのところに行ってケージの外でボールを転がして遊んでいる彼女に対して話した。
「お前の前のママとパパ死んだよ」
「ワン?」
「そういうことだからな」
「ワンワン」
 ふわりも何とも思わない様だった、そしてだった。
 後始末が全て済んでだった、ふわりの前の飼い主達の家は取り壊され空き地になった。二人は無縁仏として葬られ葬式も何も行われなかった。
 誰も何も思わず顧みられることもなかった、後で二人の娘達に死んだことが言われたが無反応だった。誰も二人の死に何も思わなかった。


死んだと聞いても何も   完


                 2023・6・24
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