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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第85話 力比べ
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は二か所から同時に斬り付けられた切れ込みがあったのだ。


「私の一撃に合わせてお前は全く同じタイミングで双銃剣を挟むように当てて斬ったのか……」
「ん、正直イチかバチかの賭けだった。でもわたしは賭けに勝ったよ」
「この土壇場でそのような行動をするとは……見事だ」


 アイネスは負けを認めると懐から何か薬のようなものを取り出してフィーに渡した。


「なにこれ?」
「我が鉄機隊に伝わる霊薬だ、傷の回復を早めてくれる」
「ふーん……」


 普通なら警戒するがアイネスが毒殺を狙うような性格でないと思ったフィーは一気に薬を飲み干した。


「苦い……」
「良薬は口に苦しと言うからな。だが効果は抜群だぞ」


 アイネスの言う通り二人の傷口から血が止まっていた、味は苦かったが効果は相当なものだった。


「フィー・クラウゼル、見事な勝利だった。お前をマスターへと会わせよう」
「ん、まあ別にマスターっていうのに興味はないけど結社の関係者なんでしょ?顔くらい見ておくかな」
「はははっ!!勇ましいのは良いがマスターには適わないぞ、お前もマスターに会ってみればわかる」


 フィーは結社の幹部の情報を集めあわよくば捕まえようと考えたがそんなフィーの考えを読んだアイネスは豪快に笑った。


「相手が誰であろうとリィンを狙うならわたしの敵……勝てる勝てないじゃないの」
「まあそう警戒するな、先ほども言ったがマスターはどちらかといえばリィン・クラウゼルに強い興味を持っているようだったぞ。いつもは凛々しいその表情がリィン・クラウゼルの話になると子を見つめる母のように穏やかになるほどだ、害したりはしないさ」
「えっマスターって女性なの?」
「そうだが……」
「別の意味でマスターって人に興味が湧いてきたよ、わたし……」


 フィーはアイネスの話でそのマスターが女性だと知りまたリィンが女性関係で何かしたのかと思い苛立った。


「じゃあ行こうか、そのマスターって人に会いにね。あとリィンにも話がある」
「うむ、では行こうか」


 明らかに機嫌が悪くなったフィーとそれに気が付かないアイネスは共にマスターの元に向かうのだった。


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