第二章
[8]前話
「うちが運営している保護施設に入ってもらうよ」
「自然公園みたいなあそこで、ですね」
「ああ、そうしてもらうからな」
「わかりました」
ゴスリコフは先輩の言葉に頷いた、そうしてだった。
チャダも他の生きもの達もサーカス団からその施設に送った、そこで静かに暮らしてもらうことになったが。
チャダは二つのサーカス団にいた合わせておよそ二十年の間とは嘘の様になった。
くつろぎのどかに暮らし他の生きもの達と売れ合っていた、ご飯を充分に食べて他の熊や狼達とだった。
「ガウ」
「ガウガウ」
一緒にご飯を食べたり遊んだり寄り添い合って寝ていた、そんな彼女を見てだった。
ゴスリコフは先輩に笑顔で話した。
「元気になって」
「幸せそうだな」
「そうですね」
「そうなってな」
それでというのだった。
「よかったな」
「全くですね」
「酷い目に遭ってきたな」
チャダそして他の生きもの達もというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「これからはな」
「チャダも他の子達もですね」
「ここで幸せに過ごしてもらう、そうさせることがな」
「僕達の務めですね」
「そうだ、じゃあ俺達のやることをな」
先輩はゴスリコフに強い顔と声で言った。
「今日もやっていくぞ」
「この子達の世話をして」
「大変な状況の子供達を保護するぞ」
「わかりました」
ゴスリコフは先輩の言葉に頷いた、そうしてだった。
この日も働いていった、それが生きものの幸せになることがわかっているので。笑顔で明るく働いていくのだった。
お婆さん熊の幸せ 完
2023・5・16
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