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墓の木
第二章

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「最早な」
「それでは誰がいい」
「誰に判断してもらう」
「頭がよく分別のある者がいいな」
「そうだな」
 こうした話をしてだった、その頭がよく分別のある者としてだ。
 ワタリガラスが選ばれた、神々は烏に告げた。
「そなたが二人のところに行ってだ」
「どちらがよいか決めるのだ」
「ニワトコと石のな」
「そのどちらの意見が正しいかな」
「わかりました」
 烏は神々の命令に頷いた、そうしてだった。
 実際にそこに行ってだった。
 両者の話を聞いた、ニワトコはあくまで増えることを言い石は絶対に不死がいいと言った。その話を聞いてだ。
 烏はこれはという顔になってだ、こう言った。
「増えないのならどうして世に満ちるのか」
「死なないならいいじゃないか」
「いや、結局は数だよ」
 こう石に答えた。
「世に満ちるならね」
「不死ならじゃないのか」
「だから死なないなら数は増えないじゃないか」
 石に再びワした。
「そうじゃないか、事実君は増えていないね」
「この世にかい」
「そうだよ、それならだよ」
「不死はない」
「死なないことは確かに素晴らしいけれど」
 それでもというのだ。
「増えないとだよ」
「世に満ちないかい」
「世に満ちるなら」
 それならというのだ。
「やっぱりだよ」
「増えないと駄目なんだ」
「そうだよ、例え死んでもね」 
「そうなってもかい」
「死ぬよりも増えていくとね」 
 そうなると、というのだ。
「徐々にでもね」
「世に満ちるんだ」
「そうなるよ、だから人間はだよ」
「死ぬ運命であるべきなんだ」
「そして増えるべきだよ、だからね」
 烏はニワトコに顔を向けて話した。
「僕は君の言うことを正しいと判断したよ」
「そうかい、じゃあね」
「うん、人間を世に出して」
 自分の言葉に嬉しそうになったニワトコに話した。
「増える様にしよう」
「死んでもね」
「そうしよう」
「それは何よりだよ、ではね」 
 ここでだ、ニワトコは烏に言った。
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