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墓の木
第一章

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                墓の木
 この時まだ人間は世に出ていなかった、だが。
 神々はここで決定を下した。
「今度は人間を世界に出そう」
「そして数を増やそう」
「これまで多くの生きものを世に出したが」
「今度は人間の番だ」
「人間を出してだ」
「人間を世界に満ちさせよう」
 こう決定を下した、そしてだった。
 アメリカニワトコと石にだ、こう告げた。
「そなた達のどちらかからだ」
「人間を出したい」
「ニワトコならば人は死ぬ運命を持つ」
「石ならば不死となる」
「そのどちらかだ」
「人間は生きるか死ぬかだ」
「そのどちらかだ」
「人間はそうなる」
 彼等に話した、それを受けてだった。
 ニワトコと石は話した、人間はどうあるべきか。
 まず石がだ、こう言った。
「人間は不死であるべきだよ」
「君の様にかい?」
「そうだよ」 
 こう言うのだった。
「やっぱりね」
「いや、それはどうかな」
 ニワトコはその石に反論した。
「君は子供を作れないね」
「それがどうかしたのかな」
「子供が出来て子孫を残して増やせないとだよ」
 さもないと、というのだ。
「この世に満ちないよ」
「いや、満ちなくても死なないとだよ」
 石はニワトコに言い返した。
「そのまま世に残るからね」
「いいのかい」
「そうじゃないか」
 こうニワトコに言うのだった。
「違うかい?」
「どうだろうね」
 ニワトコは石の言うことに懐疑的に応えた。
「増えないとね」
「駄目かい?」
「そうだよ、子孫を残すなら必ず死ぬけれどね」
「死んだら意味ないじゃないか」
「それで増えるよ、死なないなら増えないからね」
 ニワトコはこの世の摂理を話した、死ぬ者は子孫を残してその種類の数は増えるが死なない者はそれが出来ず増えないことを。
「それじゃあ世に満ちないよ」
「しかしずっと死なないならだよ」
「数が増えなくてもかい」
「ずっと残るんだからね」
 石も必死に言う、二人の議論は何時までも続き。
 平行線だった、それを見てだった。
 神々はどうしたものかとなった、それで彼等の間で話した。
「このままでは埒が明かないな」
「全くだ」
「あの者達の話は終わらないぞ」
「このままでは人間が世に出ない」
「何時までもそうなるぞ」
「これでは駄目だ」
「誰か判断する者が必要だ」
 二人の間に入ってというのだ。
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