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Standing in Blue
第一章

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                Standing in Blue
 青の時代、ピカソの絵の時代にそうした頃があったという。その頃の彼の絵は事実碧が基調で彼が沈んでいたことの表れだという。
 今の俺はそのピカソを思い出していた、働きながら描いてネットに公開している絵はどれも青が基調だ。
 青い空、青い海、青い鳥、青い花。兎に角青ばかりだ。
 けれどピカソみたいに沈んでいない、それで俺はオンラインの会話で絵を通じて知り合ったとある絵師の人に言った。
「別に悲しんだり沈んだりでな」
「描いてないですか」
「ああ、ただ描きたくてな」
 それでだった、実際に。
「描いてるんだよ」
「そうですか」
「青い空も青い海も描きたくて」
「他の青いものもですね」
「今俺の中で青が流行色でな」
 世の中はどうか知らない、兎に角今の俺は青が好きで青を描きたい。
「描いてるんだよ」
「ピカソと違って」
「沈んでないよ、仕事は今大変だけれどな」 
 結構立て込んでいる、次から次まで仕事が来て職場にいる時は脇目も振らずという感じだ。ただ職場はホワイトなんで無茶な残業とかはないのが救いだ。
「それでもな」
「お気持ちはですか」
「沈んでないよ、だから安心してくれよ」
「ブルーな気持ちでもないですね」
「ああ、青は青でもな」
 本当にだ。
「ピカソじゃなくて青い鳥だな」
「そっちの青ですか」
「そうさ、だから今はな」
 絵師仲間に笑いながら話した、お互いオフ会でも合ってるので顔を見せ合ってそのうえで気さくに話している。
「気分よくな」
「描いていきますか」
「そうしていくな、青い絵をな」
 こう言ってだ、俺は青い絵を描いていった。だが。
 仕事が洒落にならなくなってきた、残業なく終わってもその内容がハードだった。朝出勤して夕方に退社するまでだ。
 ずっと机に向かってキーボードを叩く、昼休みも途中の休憩も返上してだ。
 自分の席に座って後輩の子が買って来てくれたコンビニ弁当を飲みもので流し込んでまた仕事だ、一つやるとまた一つだ。それまで職場の中の喫茶コーナーで紙コップのコーヒーを飲む時もあったけれどだ。
 もうそんな暇もなかった、時々後輩の子が差し出してくれるインスタントで皆の分と一緒に入れてくれたコーヒーを飲む。そんな状況が二週間続くと。
 俺の絵は青くなくなっていた、黄色が基調になっていた。それで絵師仲間にオンラインで疲れきった顔で話した。
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