第一章
[2]次話
我儘ボディ女のコンプレックス
三田麗子のスタイルはかなりのものだ、一六二程の背で胸は九十、ウエストは五十八、ヒップは九十二でしかも形がいい。脚もすらりとしている。
黒髪をソバージュにして伸ばしており顔立ちも整っている。睫毛が長い切れ長の感じの二重の目と赤い大き目の唇が印象的で色白でやや面長の顔である。
高校で英語を教えているが当然男子生徒からも注目されている、しかし。
「あの先生あまり自信ない感じだな」
「そういえばそうだな」
「あれだけのスタイルなのにな」
「しかも美人なのにな」
「どうもな」
「自信ない感じだな」
「どうしてだろうな」
男子生徒達はそんな麗子を見て言った、だがそれがどうしてかわからなかった。
しかしそれがどうしてか知っている者はいて。
同居している母麗子がそのまま歳を取った感じの彼女は家で娘に言った。
「あんたまたなの」
「またじゃないわよ」
麗子は母に眉を顰めさせて言葉を返した。
「私はいつもね」
「毛のこと何とかしないといけないのね」
「手も足もでね」
ティーシャツに半ズボン姿で言うのだった。
「腋だってね」
「全部なのね」
「私体毛濃いから」
それでというのだ。
「ちょっとね」
「処理しないとなのね」
「もう身体中ね」
それこそというのだ。
「そうしないとね」
「お母さんは毛深くないのにね」
「お父さんの血ね」
まだ仕事から帰っていない父のことを言った。
「もうね」
「お父さん毛深いからね」
「それでよ」
彼の遺伝でというのだ。
「外見はお母さんそっくりでもね」
「お父さんの血で」
「それでね」
「あんたも毛深いのね」
「もうそれがね」
麗子は眉を曇らせてさらに言った。
「私のコンプレックスよ」
「そうよね」
「お髭だってね」
これもというのだ。
「あるしね」
「うっすらとね」
「それでそれもね」
「お口の方も脱毛クリーム塗ってるわね」
「そうしてるわ」
「それであんた毛深いのを気にしていて」
母は手足に脱毛クリームを塗る娘を見て言った。
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