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新オズのカボチャ頭のジャック
第十一幕その十
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「別によ」
「蜘蛛も怖くないんだね」
「そうなの」
 こうお話します。
「別にね」
「そうなったんだね」
「ええ、しかしね」
「しかし?」
「蜘蛛っていっても色々なのね」
 恵梨香は農作業の中で水面を八本の足で歩くみたいに進んでいる蜘蛛を見て言いました、お水の上を歩いている様には見えません。
「大きな蜘蛛小さな蜘蛛もいれば」
「ああ、そこはね」
 ジャックもそれはと応えます。
「そうだね」
「色々な種類があるわね」
「大きさも形もね」
「いる場所もね」
「本当に色々だね」
「それで私ミズグモなんてね」
 この種類の蜘蛛はというのです。
「はじめて見たわ」
「オズの国に来てだね」
「そうなの、この蜘蛛はお水のところで暮らしているけれど」
 それでもというのです。
「奇麗なお水でないと暮らせないのね」
「ミズカマキリ達と同じだよ」
 一緒に農作業をしている教授が言ってきました。
「そこはね」
「そうなんだ」
「そう、水棲の昆虫やそれに近い生きものは繊細でね」 
 教授はジャックにお話しました。
「奇麗なお水でないとだよ」
「暮らせないんだ」
「流れがあっても穏やかでないとね」
「そのこともあるんだ」
「中々暮らせないのだよ」
「そうしたところでないと」
「そうなんだ」
 ジャックに学問を感じさせる声でお話するのでした。
「だからだよ」
「恵梨香達もなんだね」
「ミズグモを観たことはなかったんだ」
「外の世界ではだね」
「この娘達は都会に住んでいるね」
「神戸という街だね」
「都会は沢山の人がいるから」
 その為にというのです。
「外の世界ではどうしてもお水も汚れて」
「そうした生きものが暮らせないんだ」
「そうなのだよ」
「成程ね」
「田舎に行かないと」 
 外の世界ではというのです。
「ここまで奇麗なお水の場所はないね」
「成程ね」
「だから私ミズカマキリ達も観たのはじめてなの」 
 恵梨香がまた言ってきました。
「オズの国でね」
「そうだったんだ」
「タガメなんているかどうかもね」
「知らなかったんだ」
「だって買ったら物凄く高いのよ」
 タガメはというのです。
「驚く位ね」
「外の世界だと虫を買えるんだったね」
「ええ、けれどタガメはね」
「高いんだ」
「物凄くね」
 そうだというのです。
「珍しいから」
「そうだったんだ」
「それだけお水にいる虫はね」
「貴重なんだね」
「神戸じゃ観られないわ、大阪だったらね」
 神戸と近いこの街はといいますと。
「もっとね」
「いないんだ」
「だってあそこの川何処も奇麗じゃないから」
「大阪はそうなんだ」
「だったらね」
「ミズグモ達はいないんだ」
「絶対にね
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