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ドリトル先生と山椒魚
第七幕その八

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「私はめっちゃ好きや」
「そうですか」
「ああ、これからも大阪におって」
「お言葉もですね」
「好きでいるで、私は大阪の人間や」
「これからもですね」
「ずっとな」
 先生に笑ってお話してでした。
 織田作さんは焼きそばも食べました、その様子はまさに大阪の人のものでした。 
 織田作さんと楽しい時間を過ごしてお店を後にして法善寺のその前で笑顔でまたと一時のお別れをしてでした。
 先生は帰路につきました、そこで動物の皆に言いました。
「織田作さんはああ言われたけどね」
「それでもだよね」
「いいお話聞けたよね」
「楽しい時間を過ごして」
「それが出来たね」
「そうなったよ、僕も井伏さんと太宰さんのことは知っていたよ」
 お二人の関係はです。
「師弟の関係でね」
「戦後疎遠になって」
「太宰さんは井伏さんを遺書で悪人と言って」
「井伏さんは太宰さんを気にかけていた」
「太宰さんが世を去ってからも」
「だから作品の中で太宰さんが死んだことを書いていたりもするよ」
 そうしたこともあったというのです。
「井伏さんは最後まで太宰さんをどうにかしたかったみたいだね」
「やっぱりお師匠さんだから」
「それでだね」
「心配していたんだね」
「けれど太宰さんは心中して」
 そうしてというのです。
「世を去ったからね」
「ショックだったんだね」
「太宰さんの死に」
「そうだったんだね」
「そうだよ、それでね」
 そのうえでというのです。
「色々思ったらしいね。ただね」
「ただ?」
「ただっていうと」
「太宰さんは終生何があっても敬愛し続けた人がいてね」
 この人のお話もしました。
「この世を去るまでそれは変わらなかったんだ」
「ええと、芥川さん?」
「芥川龍之介さんだった?」
「蜘蛛の糸とか書いた」
「あの人も自殺したよね」
「そう、学生時代にあの人の作品に出会って」 
 そうしてというのです。
「井伏さんの作品にもだったけれど芥川さんの作品にも心酔したんだ」
「そういえば何か似てる?」
「芥川さんと太宰さんってね」
「同じく自殺していて」
「タイプは違うけれどお二人共美形だしね」
「そうだね、僕も共通点は多いと思うよ」
 先生にしてもというのです。
「そして作品にずっとね」
「感銘を受けていて」
「読んでいて」
「敬愛し続けていたんだ」
「憧れていてね」
 芥川さんにというのです。
「芥川賞を何としても受賞しようとしたし」
「それで揉めもしたね」
「川端康成さんと」
「先生太宰さんの論文前書いたけれど」
「そうしたことお話してたね」
「そうだよ、兎角芥川さんへの憧れは強くて」
 そうしてというのです。
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