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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第79話 痩せ狼
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るな……!


「ククッ、俺の体に染みついた血の匂いに感づいたか?お前と同じさ、俺も殺しを生業としている」
「……この一連の地震騒動はお前がやったんだな?」
「見りゃ分かんだろ?当たり前のことをいちいち聞くなよ」


 ヴァルターはそう言うと装置をポンポンと軽く叩いた。


「この杭は結社で開発された七耀脈に干渉できるシロモノでな、本来は真下の七耀脈を活性化させるだけなんだが『ゴスペル』を使う事で広範囲の七耀脈の流れを歪ませて局地的な地震を発生させる……まっ、そんな実験をしていたって訳だ」
「実験……お前達はゴスペルを使って何をしようとしているんだ!」
「知るかよ、そんなこと。俺は上から言われたことを行っただけだ」


 俺はヴァルターを問い詰めるが奴は心底どうでも良さそうにそう話す。


「さて、俺のノルマは達成したんだ。ここからは好きにやらせてもらうぜ」
「なにを……ッ!」


 俺がそう呟いた瞬間、ヴァルターは俺の眼前まで迫って拳を突き出していた。俺は咄嗟に横に転がって回避したが……


「なっ……!?」


 その正拳突きの余波で壁に穴が開いた。なんて身体能力だ……!


「アイツは特異点でお前を追い詰めろと言っていたが、別に俺がやっても問題はねえよなぁ?」
「特異点?」
「ああそうだ、お前も前に入っただろう?ゴスペルの力を使って自由にあの空間を作れるのさ。お前の仲間は全員そこにいるぜ、今頃そこの主と遊んでいるだろうな」
「……お前の目的は何だ?」
「決まってるだろう、殺しあいだよ」


 ヴァルターはどう猛な笑みを浮かべて俺を射抜く、そのプレッシャーはあのロランス少尉と変わらないほど重かった。


「俺はな、人生において楽しむのには適度な刺激が必要だと思ってんだよ。その中でも殺しあいは最高のスパイスさ、生きるか死ぬか……まさに極限のやり取りだ。ゾクゾクしねえか?」
「……お前と議論する気はない、結社の一員なら捕らえるだけだ」


 この男は殺意に取りつかれている、猟兵の俺がこの男を非難する資格など無いが理解もしたくない。


「リィン・クラウゼル……お前というスパイスを味見させてもらうぜ。せいぜい俺を満足させられるように頑張ってくれよ」
「ぐっ!」


 俺は太刀を振るいヴィクターに向かっていった。


―――――――――

――――――

―――


side;フィー


「くそっ!しつこい奴だ!」


 鳥のような巨大な魔獣に襲われているわたし達は狭い足場を乗り継ぎながら必死で逃げていた。


「このっ!」


 わたしはジャンプして魔獣に銃弾を撃つが届かない、これじゃ攻撃できないよ……!


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