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仮面ライダーAP
特別編 仮面ライダー羽々斬&オリジンモンスターズ 第9話
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 怪人達による蹂躙、虐殺。赦しを乞う暇もなく踏み躙られ、掻き消されていく兵士達の命。
 その断末魔が一つ残らず絶え果て、戦車隊の残骸が朝陽の輝きを浴びる頃。

 人間としての最後の尊厳も、誇りも捨てた怪人達は――焼け焦げた森の中で。眩いばかりの陽光を浴びていた。

「片付いたようだな」

 そこへ、改進刀を携えた羽々斬――羽柴柳司郎も現れる。後光の如くその背に朝陽を浴びて、この場に歩み出た黄金の戦鬼は、その手でザンの首を掴んでいた。

 この世の苦痛を味わい尽くしたかのような、筆舌に尽くし難い苦悶の形相。そんな表情のまま絶命しているザンの姿が、国防軍の「過ち」を象徴しているかのようだった。柳司郎は変身を解くと、その首を粉々に踏み潰してしまう。

「……これでもう、この国からの出資は得られんな。俺達はまた一つ、居場所を失ったということだ」
「元より人ではない俺達に、安住の地などあり得んさ。……国防軍に粗末なデータを売るくらいだ。恐らくは清山も、『潮時』と判断していたのだろうな」
「……そうだな。俺達は改造人間。人であって、人ではない。人間同士のルールに拘る意味も、必要もない。国防軍との契約自体が非公式のものである以上、向こうもこの件を表沙汰には出来んしな」

 先ほどまで、「異形の怪人」として暴虐の限りを尽くしていた傭兵達。彼らの多くはすでに「変身」を解き、柳司郎と同じ野戦服に袖を通した人間の姿に「擬態」していた。

 彼らの足元に広がる血の海は、この地で起きた殺戮の苛烈さを如実に物語っている。原型を留めている遺体など、一つも無い。

「清山は一足早く国境線を抜けたそうだ。俺達も急ぐぞ。今に国防軍の増援が押し寄せて来る」
「全く……相変わらず、せっかちな男だ」

 そんな仲間達は、多くを語ることなく。間霧が鹵獲したティーガーIに乗り込んだ柳司郎や、LEPを搭載した兵員輸送車と共に、この場を後にして行く。
 国防軍に牙を剥く結果となった以上、これ以上この国に留まることは出来ない。

 彼らはこれまでも、そしてこれからも。安息の地を持たぬ改造人間の傭兵(サイボーグ・マーセナリー)として、世界中を転戦して行くこととなるのだ。

 決して楽には死ねない身体で。それでもいつかは必ず訪れる、死の瞬間まで。

「……この決着は、気に食わんか?」
「あぁ……奴らは死んだが、勝ったのは俺達ではない。もし、この戦闘に勝者が居るとすれば……それは、俺達を駆り立てたツジム村の住民達だ」
「そうだな……そうかも知れん」

 昨夜の死闘が嘘のような、穏やかな朝。
 その陽射しの中を仲間達が進み出して行く中、都子の肩を抱いていた柳司郎は一度だけハッチから身を乗り出すと――少女達が眠る、ツジム村の跡地を一瞥する。そんな
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