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ドリトル先生と山椒魚
第七幕その三

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「井伏さんのこともです」
「意識してるんやな」
「はい」
 こう織田作さんに答えました。
「何かと」
「奇遇やな、私もあの作品は知ってるけど」
 それでもとです、織田作さんは食べつつ先生に言いました。
「実は山椒魚とは縁がないんや」
「オオサンショウウオとはですね」
「あれは山におるやろ」
「その川の中に」
「そやからな」
 だからだというのです。
「大阪みたいな街中におるとな」
「縁がないですね」
「川は多いで」
 大阪はというのです。
「堀とな」
「大阪はそうですね」
「前に海があって」
 先生が食べているほたてを見つつ言います。
「ほたてかてそやしな」
「これも北海道が有名でもですね」
「海は海でな」
 それでというのです。
「前は海で」
「そこから川が複雑に流れていて」
「お堀もある、道頓堀かてな」
 法善寺のすぐ傍のです。
「あそこもや」
「まさにそれですね」
「そや、もうあちこち川が流れていてなや」
「大阪はその中にある街ですね」
「そやから水の都って言われてる、私は木の都やと思てるけど」
 木もまた多いからです。
「そやけどな」
「それでもですね」
「川が多いこともな」
「事実ですね」
「そやから橋にちなんだ地名が多いし」
 川や堀にかけるそれがです。
「船場なんてな」
「地名もありますし」
「ほんま大阪は川が多い」
「というか川の中に街がある?」
 ガブガブはここでこう言いました。
「大阪って」
「もうそんな感じだね」
 ホワイティはガブガブの言葉に頷きました。
「最早ね」
「そうだよね」
「島が幾つもあって一緒になってる風よ」
 チープサイドの家族はこう言いました。
「大阪ってね」
「昔の地図なんて見たらそうだね」
「大阪城だってそうだったね」
 トートーは大阪の象徴の一つのこのお城のお話をしました。
「川を使ってお城の守りにしてたね」
「そうそう、もうね」
 ダブダブも言います。
「その川と堀で難攻不落になっていたんだよね」
「元は本願寺があって」
 ジップはこのことをお話しました。
「織田信長さんも攻めるのに苦労したんだよね」
「そこに豊臣秀吉さんがさらに堅固なお城を築いたのが大阪城」
 ポリネシアは強い声で言いました。
「当時は大坂城といったわね」
「難攻不落なのはまず川があったこそ」
「そこまで大阪の川は多いんだよね」
 オシツオサレツは二つの頭でお話しました。
「複雑に入り組んでもいて」
「まさに川の街だね」
「ヴェネツィアとはまた違った形で水の都だね」
 チーチーはイタリアのこの街の名前を出しました。
「海と川でね」
「その大阪でもだね」
 老馬は織田作さんを見て言いました。
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