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七十歳でもう一度
第二章
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「やってくれるのはいいけれど」
「大丈夫ですか?」
「もう七十ですが」
「それでも」
「それでもさあこれからで」
 その考えでとだ、周作は大教会長や他の大教会の中で重要な立場にいる人達に話した。
「やらせてもらおうと」
「そこまで言われるなら」
「じゃあ奥さんと二人でお願いします」
「そちらの教会の系列で事情教会もありますし」
「その教会お願いします」
「わかりました」
 こうしてだった。
 周作は自分が所属している系列の教会に一つ事情教会があるのでその教会の教会長に就任した。乙子もその教会の奥さんとなってだった。
 教会に住んで切り盛りをはじめた、すると乙子はこんなことを言った。
「やりがいも張り合いもあって」
「いいな」
「ええ、けれど七十になって教会長になるなんて」
「驚いてたな、最初は」
「このまま前会長さんだと思っていたら」
「事情教会があったら何とかしないとな」
 その教会に教会長がいないならというのだ。
「それにやろうと思って努力したらな」
「そうしたらなってくるわね」
「そうした教えだからな」
 天理教はというのだ。
「それでだ」
「やろうって思ってなのね」
「娘達にも話してな」
「大教会長さんにもなのね」
「お話させてもらったんだ」
「そうなのね」
「ああ、確かにわしは七十でな」
 年齢のことを自分でも話した。
「幾ら大きな病気をしたこともなくな」
「元気でもね」
「若い頃とは違う」
「動きも鈍って」
「頭の冴えもな」 
 これもというのだ。
「若い頃程じゃない、体力もな」
「私もよね」
「かなり落ちてるな」
「そうよね」
「けれどな」 
 それでもというのだ。
「やっぱりやろうと思ったらな」
「やることね」
「七十でもな」
 この年齢でもというのだ。
「そう思ってのことなんだ」
「それでこれからは」
「この教会でやっていこうな」
「教会長さんとして」
「そうしていこうな」
 こう話してだった。
 二人で教会長とその奥さんをしていった、そのうえで教会も勢いを取り戻させて孫の一人と話をしてだった。
「じゃあこの教会はな」
「俺がだね」
「跡を継いでくれるか」
「教会も継がないとな」
「その理をな」
 天理教の教えとしてそこにあるものをというのだ。
「だからな」
「わかったよ、じゃあ祖父ちゃんの家に入って」
 この教会にとだ、孫も応えた。
「それでな」
「天理教の教えを学んでか」
「跡を継ぐよ」
「頼むな、わしもこれで安心出来る」
「七十で教会長さんにまたなってか」
「跡継ぎも見付けられてな」
 こう言ってそうしてだった。
 孫に笑顔を見せた、七十になってもその顔にはハリがあった。


七十歳で
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