第二章
[8]前話
「うちのクラウスと似てるね」
「この子は耳は凍傷でこうなって」
「ニャ〜〜〜」
妻もその猫クラウスを見つつ話した、見れば二人の傍に寝て喉を鳴らしている。
「左目は多分ね」
「感染症でこうなったみたいだね」
「獣医さんが言うには」
「ここは寒いから」
夫は言った。
「だからね」
「凍傷もあるわ」
「野良猫も大変だよ」
「保護団体に保護されてよかったわね」
「そして僕達もね」
「この子を家族に迎えてね」
「よかったよ、家族が増えて」
「そうね、こうしてね」
見ればだった、二人の周りには。
雄のシベリアンハスキーに茶色の雌猫と黒と白と灰色の雌猫がいる、妻は彼等も見て夫に笑顔で話した。
「センターもチェリーもマーガレットもね」
「三匹共元々野良でね」
「大変だったけれど」
「ワン」
「ニャア」
「ミャウン」
「保護されて」
そうしてと夫に話した。
「それでね」
「うん、うちに来てね」
「家族になってね」
「寒くてご飯も見付かりにくい外よりもだよ」
「やっぱりお家にいる方がいいわね」
「そう思うよ、クラウスだってね」
「ええ、耳も目もそうだし」
「うちに来てよかった筈だよ、そしてこの子達が心からそう思える様にね」
夫は妻に微笑んで話した。
「僕達はね」
「そうね、努力してね」
妻も笑顔で応えた。
「大事にしていきましょう」
「これからもね」
「家族に迎えたから」
こう話してだった、夫婦でクラウス達を見た、すると。
クラウスは三匹と仲良く遊んでいた、夫婦はその姿を見てさらに笑顔になった。耳がなくなっている部分があって左目は見えなくともだった。
クラウスは元気だった、その姿は他の猫達と何も違いはなかった。
見えなくなっても幸せが見えた 完
2023・4・16
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