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第十二話 風使その十一

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「楽しんできてね」
「意味がわからないわ」
 颯姫は無表情で答えた。
「滅ぼす世界を楽しむなんて」
「そうですよね」
 ??もそれはと言った。
「僕達が滅ぼす世界なら」
「楽しむ意味がないわ、それに」
 颯姫はトーストを食べつつ言った。
「私は楽しいと思ったことは」
「ないのね」
「ええ」
 庚にこう答えた。
「これまで生きてきて」
「じゃあ今食べているものはどう思うかしら」
「トーストね」
「レーズン入りのマーガリンを塗ったね」
 颯姫が食べているトーストはそちらを塗っていた、庚は苺のジャムを塗っていて??はマーマレードである。
「どうかしら」
「美味しいわ」
 庚に無表情で答えた。
「とてもね」
「そう、よかったわ」
「かなり上等のパンね」
 焼かれたそれはというのだ。
「マーガリンも」
「そうよ、私が選んだね」
 そうしたというのだ。
「ものよ」
「では目玉焼きもソーセージも」
 そういったものもあった。
「それにトマトも」
「全部よ」
「それで貴女が作ってくれた」
「ええ、目玉焼きやソーセージもね」
「トマトは切って」
「そうしたものよ」
 颯姫に牛乳を飲みつつ話した。
「いつも通りね」
「お料理の腕も上手だわ」
 庚、彼女はというのだ。
「和食の時も美味しいし」
「美味しいと思えれば」
「それがなの」
「楽しいということよ」
「そうなのね」
「誰かとお話をして」
 庚はさらに言った。
「そう思ってもね」
「いいのね」
「ええ、それでこうしてね」
「美味しいものを食べられても」
「楽しいのよ」
「そうなのね」
「そういえばです」
 ??はソーセージをフォークに刺して口に入れつつ言った。
「学校の食堂のお料理は」
「美味しいわね」
「はい、凄く」
「私がいた頃からね」
「庚さんもですか」
「ええ、あの学園に通っていたのよ」 
 クランプ学園にというのだ。
「幼稚園から大学までね」
「そうだったんですね」
「貴方達の先輩になるわね」
 ??に笑ってこうも言った。
「そういえば」
「そうですね」
「それで私が通っていた頃からね」
「クランプ学園の食堂のお料理はですか」
「美味しいのよ」
「そうなんですね、この前ハヤシライスを食べましたが」
「美味しかったのね」
 ここでも笑って応えた、優しいそれで。
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