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星河の覇皇
第八十三部第四章 戦線崩壊その一

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               戦線崩壊
 ティムール軍は今自分達の防衛ラインに自信を持っていると言えば言えた、だがそれでもであった。
 オムダーマン軍の攻撃についてだ、彼等は話した。
「あの謎の攻撃がな」
「横や後ろから出て来るあれがな」
「実に厄介だ」
「そうだな」
「あれが出て来たら」
「もうな」
 その時はというのだ。
「国境の時みたいになるか」
「あの時みたいにな」
「訳がわからないことになるか」
「思わぬところから攻撃を受けて」
 そうしてというのだ。
「一方的に破壊されてだ」
「散々に破壊されて」
「それで負けるか」
「そうなるか」
「あの攻撃が出て来たら」
「そうなるか」
 こうした話をしていた、それでだった。
 彼等は自信を持っていてもそれは絶対のものではなく不安も感じていた、そしてそれは対するアッディーンもだった。
 はっきりと見ていた、そのうえでモニターに出ている軍司令や参謀達に話した。
「敵は一見万全の備えを敷いたと思っているが」
「その実はですね」
「違いますね」
「我々の攻撃に不安を抱いている」
「あの攻撃を恐れていますね」
「左様ですね」
「そうだ、国境での戦いでだ」
 まさにその時でというのだ。
「我々はあの攻撃を仕掛けてだ」
「そしてですね」
「敵を散々に破った」
「それが、ですね」
「彼等に衝撃を与えましたね」
「ただティムール軍を破っただけではない」
 それに止まらないというのだ。
「ティムール軍は自分達が出来るだけの防御陣を築いたが」
「それでも敗れる」
「そうなるかも知れない」
「そう考えていますね」
「今の彼等は」
「そうだ、あの攻撃で敗れ衝撃を受け」
 そしてというのだ。
「恐れてだ」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「警戒している」
「何よりも」
「あの攻撃がわからないままに」
「敵に対して切り札がありだ」
 そしてとだ、アッディーンはさらに話した。
「出せてその攻撃の詳細がわからない」
「しかもかなりの威力がある」
「そこまで揃っていればですね」
「非常に強力な武器ですね」
「左様ですね」
「そうだ、我々はだ」
 まさにというのだ。
「その分有利に立っている」
「こちらには切り札がある」
「そしてその切り札がわからない」
「一体何であるか」
「そのこと自体がですね」
「我々の有利な材料であり武器になっているのだ」
 アッディーンは強い声で言った、その声の中には絶対の自信があった。そこはティムール軍とは違っていた。
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