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ユニオンジャック
第二章

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「アイルランドはな」
「洒落になってないか」
「言わないことだよ」
「そうなんだな」
「あれだろ、四国の中で一番先に来るのは何処か」
 スコットランド出身のウィリアム=マッケーシーが言った。金髪を真ん中で分けた茶色の目の青年で細長い顔に薄い唇で背は一八〇位でやや太っている。四人共同じカレッジでイギリス文学を学んでいる。
「そういう話にもなるな」
「それ言うなよ」
 クローズは憮然として話した。
「もうな」
「言うとだよな」
「洒落にならない話になるからな」
「イングランドが一番とかか」
「だから言うなよ」
 クローズはマッケーシーに話した。
「旗の話でもな」
「国自体の話でもなくてか」
「国旗は国家の象徴だろ」
 クローズは強い声で言った。
「だからな」
「それを言うとか」
「もうな」
 それこそというのだ。
「とんでもない話になるからな」
「だからか」
「連合王国ってことはな」
「四国共か」
「同じってことでな」
 その立場はというのだ。
「いいだろ」
「そうなるか」
「お前もな」
 クローズはニコルに顔を向けて言った。
「ウェールズだってな」
「入ってるか」
「ちゃんとな」
「ネタにされてもか」
「それでも連合王国だからな」
 それを象徴する国旗だからだというのだ。
「もうな」
「そこになくてもか」
「あると思ってな」
 そうしてというのだ。
「考えるものだよ」
「そうなんだな」
「まあ俺達なんてな」 
 ウェルズは笑って言った。
「かなりな」
「ああ、アイルランドはな」
「色々あってな」
「イギリスになったな」
「今も残ってるけれどな」
 北アイルランドはというのだ。
「そうなってるけれど国旗の話はか」
「南の話するとややこしくなるな」 
 マッケーシーが応えた。
「やっぱり」
「そうだよな」
 ウェルズはマッケーシーの言葉に頷いた。
「国家としては独立してな」
「あっちはあっちだな」
「そうなってるからな」
 だからだというのだ。
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