第四章
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「値段もね」
「よかったからなのね」
「それで買ったんだ」
「そうだったのね」
「うん、それでだけれど」
「返事はわかってるわよね」
有紗は目を細めさせたまま答えた。
「もう」
「それでも聞きたいけれどいいかな」
「わかったわ、凄くね」
実際にと言うのだった。
「よかったわ」
「そうなんだね」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「これからもね」
「このお花見ていくんだ」
「そうしていきましょう、お部屋の中に置いて」
そうしてというのだ。
「時々でもね」
「お部屋を暮らして」
「見ましょう、お家にもね」
こちらにもというのだ。
「持っていきましょう」
「そうしようね、結婚してからもね」
それからもというのだ。
「見ていきましょう」
「そうしようね」
「いいお花ね」
有紗はこうも言った。
「だからね」
「時々でもだね」
「見ていきましょう」
「二人でね」
「そして子供が生まれてもね」
有紗は笑顔で話した、そしてだった。
二人でこの夜は花を見て楽しんだ、それから時々でも暗がりの中で見て楽しみ結婚して新居に入ってもだった。
楽しみ子供が生まれてもだった。
子供に見せてだ、二人は話した。
「こうして一家でね」
「ずっと見ていきたいわね」
こう話してだった。
二人でずっとその花を見ていった、一家の花となったそれは子供も喜んでささやかな幸せにもなった。
それでだ、その花が古くなって動かなくなると。
中年になっていた将は妻に名残惜しそうに言った。
「これまでね」
「ええ、楽しませてもらったわね」
妻も名残惜しそうに答えた。
「本当に」
「そうだったね、じゃあ」
「ええ、大事にね」
「捨ててそして」
「またね」
「このお花を買おう」
花にお礼を言って粗大ゴミに出してだった。
また輝く花を買った、そのうえで一家で楽しみ続けた。一家にとって輝く花はなくてはならないものになっていた。
プリズムフラワー 完
２０２２・１１・１２
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