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新オズのカボチャ頭のジャック
第三幕その十一

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「最高の水田よ」
「そうなんだね」
「素敵な場所よ」
「それは何よりだね」
「畑もあるし」
 見れば水田の近くに広がっています。
「ここは凄くいい場所よ」
「そう言ってくれるんだね」
 近くにいた中年のギリキンの紫の服を着たおばさんが言ってきました。
「実はここは昔は麦ばかり作ってたのよ」
「そうだったんですか」
「けれどこっちに来た日系人の人に教えてもらってね」
「それで水田をはじめたんですか」
「今も麦も作ってるけれど」 
 それでもというのだ。
「主にはね」
「水田ですね」
「それを作ったら」
 そうしたらというのです。
「お米が沢山採れて他のものもね」
「採れるんですね」
「あぜ道のお豆に」
 これにというのです。
「泥鰌にタニシに鮒に雀に鴨にってね」
「お米以外のものが食べられますね」
「そうなのよ、もう最高よ」
「水田は」
「その日系人の人には感謝しているわ」
「そうなんですね」
「それでその日系人の人はどうしてるのかな」
 ジャックはおばさんに尋ねました。
「それで」
「今ここにいるわよ」
 こう言うとでした。
 アジア系の初老の人が出て来ました、やはりギリキンの服を着ています。
「イノウエさんっていうのよ」
「いやあ、どうもどうも」 
 イノウエさんと言われたその人は左手を頭の後ろにやって人懐っこい感じでいます。飄々として気さくな雰囲気です。
「ここは近くに豊かな川があるからね」
「水田に向いてるってなんだ」
「思ってこっちに移住してね」
 そうしてというのです。
「この村の人達にお話したら」
「これだけの水田が出来たんだ」
「そうなんだ、勿論わしもだよ」
 ジャックにその人懐っこい笑顔でお話します。
「まずは自分でね」
「水田を作ったんだ」
「そうしたんだ、するとだよ」
「いい水田になったんだ」
「そうなんだ、土地もよかったしね」
「いや、ここ結構痩せた土地だったのよ」
 おばさんがこう言いました。
「確かに川は近くにあったけれど」
「それでもだったんだ」
「痩せていたのよ、それがね」
 そうした土地だったのがです。
「イノウエさんの言う通りにしたら」
「いい土地になったんだ」
「あっという間にね」
 それこそというのです。
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