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神々の塔
第十話 英雄もまたその一

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                第十話  英雄もまた
 まただった、節目の階に進む階段の前に来るとだった。
 そこに神霊が現れた、今度の神霊はというと。
「シンドバットやな」
「ああ、アラビアンナイトのな」
 トウェインと中里はその彼が出て来たのを見て話した。
「となると上の階で待ってるのはな」
「この人かいな」
「ああ、そうさ」
 その頃のイスラム圏の服を着た髭のない明るい顔立ちの青年は笑って答えた、腕を組み脚を粋なポーズ右足を膝を曲げて少し右にさせて立っている。
「おいらはシンドバットだよ」
「あんたもこの世界やと神霊か」
「そうさ、ただしな」 
 シンドバットはトウェインに笑ったまま話した。
「わかるだろ、イスラムだからな」
「神はアッラーだけやな」
「そうさ、絶対にして唯一のな」 
 まさにというのだ。
「アッラーがおられてな」
「あんたはやな」
「間違ってもだよ」
「神様やないな」
「英雄だよ、神霊で言うところの霊だな」
 それになるというのだ。
「簡単に言ったら」
「そういうことやな」
「それでな」
 シンドバットはさらに話した。
「おいら達は上の階段にいるからな」
「相手にするならやな」
「ああ、まずはな」
 トウェインにさらに話した。
「宿屋で休んでな」
「気力と体力を全快させてか」
「それから来るんだよ、いいな」
「わかったわ」
 それならとだ、トウェインは十人を代表して答えた。
「ほな今回もな」
「ああ、待ってるぜ」
 明るい返事だった。
「それじゃあな」
「そういうことでな」
「しかしあんた随分気さくやな」 
 施はシンドバットの物腰と口調から言った。
「友達感覚やな」
「だからおいらは神様じゃないからな」
「畏まることはないか」
「そうさ、この世界を司る存在でもな」
「神はやな」
「イスラムだとな」
 この宗教ならというのだ。
「本当にな」
「唯一にして絶対の神やな」
「アッラーはな、そのアッラーの前だとな」
 それこそというのだ。
「人間なんてな」
「小さいな」
「等しく小さいんだよ」
 そうした存在に過ぎないというのだ。
「だからな」
「自分等にもか」
「別に威張ったりしないんだよ」
 そうだというのだ。
「元々そうした性格だしな」
「そうなんやな、あんたは」
「そうさ、そういうことだから宜しくな」
「戦うんやな」
「ああ、宜しくな」
 笑顔で言ってだった。
 シンドバットは姿を消した、それを受けてだった。
 一行はまずは宿屋に入ったがそこはドワーフの一家が経営していて道具屋はエルフでどちらもムスリムだった。
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