暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第八十三部第三章 今だ目覚めずその五十五

[8]前話 [2]次話
「攻撃の正確さは優れた電子設備の賜物ですね」
「それで我々は苦しみました」
「ですが防御力はそれ以上に強く」
 兵器のバリアや装甲のそれはというのだ。
「しかもダメージコントロールもよく」
「将兵もそちらの訓練は長けていて」
 これは連合軍の特徴だ、訓練はまず災害救助やこのダメージコントロールを行いその後で攻撃や運用となるのだ。
「中々沈まなかったです」
「将兵の犠牲も少なく」
「とにかくしぶとかったです」
「あの国の兵器は」
「それも兵器の思想だが」
 それでもとだ、タンホイザーはさらに話した。
「私が今話しているオムダーマン軍の兵器はな」
「思想が全く違いますね」
「攻撃力の防御力も否定し」
「そして機動力も」
「隠密性ですね」
「それだけを考えていますね」
「無論生存性もだ」
 これもというのだ。
「考慮していない」
「まさに発見されれば終わりですね」
「その時は」
「撃沈されてですね」
「乗員達も」
「発見されれば全員だ」
 まさにというのだ。
「死ぬしかない」
「乗艦が沈めば」
「その時は、ですね」
「どうにもならない」
「助かる見込みもないですか」
「そうした危険な兵器だが」
 それでもというのだ。
「使い方によってな」
「大きな力を発揮する」
「そうした兵器ですか」
「そしてその兵器を使い」
「オムダーマン軍は勝ったのですね」
「そういうことだ、そうした兵器が欲しい」
 タンホイザーはこうも言った。
「戦術においてかなりの戦力になる」
「だからですか」
「長官もですか」
「そうした兵器が欲しいですか」
「そう言われますか」
「一度軍務相そして総統閣下とお話したい」
 真剣な目でだった、タンホイザーは述べた。
「その艦艇についてな」
「そこまでお考えですか」
「これからのことについて」
「そうなのですか」
「そしてな」 
 そのうえでというのだ。
「あの兵器を手に入れたい」
「エウロパ軍も」
「是非な」
 こう言うのだった。
「あの兵種もあるとな」
「それで、ですか」
「戦術の幅が広がる、だが」
 ここでだ、タンホイザーは苦い顔になった。そうして言うのだった。
「私はこれまでだ」
「これまで?」
「これまでといいますと」
「ああした兵器は想像もしなかった」
 全く、とだ。タンホイザーは苦い顔のままで述べた。それは自分自身に対する深い悔悟の念によるものだった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ