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第八話 記憶その三

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 追いかけて来た僧侶たちのところに行って謝った、そして僧侶の言った通り少し叱られて終わったのだった。
 成長し寺を後にする時にだ、僧侶は私服になって向かう空汰に声をかけた。
「達者でな」
「ああ、戦ってくるわ」
 空汰は僧侶に明るく笑って応えた。
「そうしてくるわ」
「是非な」
「ああ、ただな」
「ただ?どうしたのじゃ」
「いや、じっちゃんとはこれが今生の別れやな」 
 明るく笑ったまま言うのだった。
「そやな」
「わしの星見だとな」
「そやから悲しい別れやな」
「わしの星見が外れたことはないからな」
「それでな」
「わからんぞ」
 僧侶は空汰に微笑んでこう告げた。
「御仏が見られた訳ではない」
「そやからか」
「わしが見てもじゃ」
 星見でというのだ。
「違うやも知れぬ」
「何や、わい生き残るんかいな」
「そうなるやも知れぬ、その時はな」
 優しい笑顔での言葉だった。
「その人と共にな」
「ここにやな」
「戻って来るのじゃ」
「そうしてええか」
「待っておるぞ、人間の世界を護ってな」
 七つの封印としてというのだ。
「そのうえでな」
「その人とか」
「山に戻って来るのじゃ」
「高野山にやな」
「そなたの力は大師様にも匹敵する」
 弘法大師即ち空海上人にもというのだ。
「きっと七つの封印でも大きな力になりな」
「そうしてか」
「人間の世界を護り」
「ここに戻って来られるか」
「わしはお主のことを見たことは信じておらぬ」
 星見のそれをというのだ。
「だからな」
「ここにか」
「戻って来ることを待っておる」
「そうか、ほなその時はな」
「うむ、その人と共にな」
「楽しくお祝いしよか」
「待っておるぞ」
「じっちゃん怒るとめっちゃ怖いけど」
 空汰は笑ってこうも言った。
「普段はめっちゃ優しいし」
「だからか」
「いつも有り難いと思ってたわ」
「そう思ってくれておったか」
「ああ、ほなな」
「うむ、行って来るのじゃ」
「出来る限り戻る様にするわ」
 別れる時も明るくだった。
 空汰は告げて山を下りて東京に来た、そのことをクランプ学園の敷地内にある彼等の今の場所で嵐に話すと。
 嵐は神妙な顔になってだ、彼に話した。
「そうして生きて来たのね」
「ああ、高野山でな」
 空汰は嵐に答えて話した。
「そやった、物心つく前からな」
「その頃からなの」
「実の両親に山の人達が事情を話してな」
「貴方を預けたのね」
「物心つく前やけど覚えてるわ」
 空汰はこのことは遠い目で話した。
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