第一章
[2]次話
クレーマーの末路
そのスーパーでは一人の客が問題になっていた。
「またあの人ですよ」
「ああ、あの人ね」
主婦でこのスーパーで長い間レジのパートをしている松坂裕子は高校生のレジのアルバイトの娘寺脇美穂の言葉に顔を顰めさせた、裕子は一五六位の背で丸顔で目尻に皺がある大きな口で黒髪を短くさせた小太りの中年女性で美穂は一四七位の背で黒髪を腰まで伸ばし大きな明るい目と紅の唇とやや面長で高い鼻を持っている。スタイルもいい。
「またクレーム書いてるのね」
「そうなんですよ」
「あのずっとなのよ」
「ああしてですか」
「お店への要望っていうことでね」
その体裁を取ってというのだ。
「それでね」
「ああしてですね」
「クレーム書くのよ」
「そうなんですね」
店にアルバイトに入って二ヶ月程度の美穂は困った風な顔になって応えた。
「あの人は」
「もう何か気に入らないことがあるとね」
その時はというのだ。
「ああしてクレーム書いたり」
「前ドライの人に文句言ってました」
「そうしたことしてね」
そしてというのだ。
「ここの二年辺りね」
「クレームつけてるんですね」
「うちのお店にね、多分他のお店にもね」
「文句言ってますか」
「そうなのよ」
これがというのだ。
「まあお店にはそんな人も来るってね」
「いいお客さんばかりじゃなくて」
「そのことも覚えておいてね」
「わかりました」
「それにああした人っていなくなるから」
ここでだ、裕子は美穂に笑って話した。
「安心してね」
「いなくなるんですか」
「見たらわかるわ」
「そうですか」
「少し我慢したら」
そうしたらというのだ。
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