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展覧会の絵
第十七話 死の島その十
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「死。裁きの代行者だよ」
「裁きの代行者だと」
「清原由人。来てもらうよ」
 声は怪訝な声を出した由人にこうも言ってきた。
「裁きの代行を行う場所にね」
「誰なんだ、一体全体」
「また言うけれど死だよ」
 こう言うだけだった。声の主は今は。
 そしてだった。また前に顔を向けようとする彼の後ろにすぐに回り込み。
 手刀で首筋を打って意識を奪った。そうしてだった。
 由人が目覚めたのはあのコンクリートの部屋の中だった。今回もまた。
 四肢を先で縛られ全裸にされていた。その彼が目覚めたのはそうした状況の中だった。
 その彼にだ。前から声がしてきた。
「目覚めたね」
「君は」
 由人は見た。闇の中から彼が浮かび上がってきたことを。
 アルビノを思わせる白い顔に金髪、だが目は黒だ。
 白い詰襟に金色のボタン、その制服を着ている彼を見てだ。由人は言った。
「塾の特進生の」
「御存知でしたか」
「イタリアから来たというあの」
「はい、佐藤です」
 十字は自分から名乗った。
「佐藤十字です」
「そうだったな、君は」
「覚えていてくれましたか」
「忘れるものか。だが」
「だが、といいますと」
「何故今私はこうなっている」
 由人が問うのはこのことだった。
「何故裸で縛られているのだ」
「そのことですか」
「しかもここは一体」
「まずはここが何処か、それからお答えします」
 十字はその由人に淡々と話す。
「それで宜しいでしょうか」
「そうだ、ではここは何処なのだ」
「処刑場です」
 これが十字の返答だった。ここが何処かという。
「そうなのです」
「処刑場だと?」
「そうです。処刑場です」
 まさにそれだというのだ。
「貴方に裁きの代行を下す場所です」
「何っ、それはどういうことだ」
「申し上げたままです。貴方はここで処刑されるのです」
「君は何を言っているんだ」
 由人にはこのことがわからなかった。十字が何を言っているのかを。
 それで首を捻る。処刑ということはわかるがそれでもだ。
 何故自分が処刑されるのか、それがわからなかったのだ。しかしだった。
 ここで十字はだ。こう彼に告げたのだった。
「貴方は多くの罪を犯してきました」
「まさか」
「そうです。貴女は多くの少女を弄び薬に溺れてきました」
「何故そのことを知っている」
「神は全てを御存知です」
 だからだ。知っているというのだ。
「そして神の僕である」
「君もだというのか」
「その通りです。それでは貴方が何故裸なのか」
 十字から答えてきた。このことについて。
「それはその方が処刑
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