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星河の覇皇
第八十三部第二章 撤退の果てにその五十三

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「最早比較にすらならない」
「そこまでの区別でしたね」
「アパルトヘイトよりも遥かに」
「かつて南アフリカにあった」
「ああした区分よりもです」
「分けられていましたね」
「そうして徹底的に社会から疎外され」
 彼等の世界がもう一つの世界と言っていいまでにだ。
「そして差別され虐げられてきた」
「それが、ですか」
「彼の怨念で」
「その怨念に基づいて、ですか」
「はい」
 まさにというのだ。
「ジャバル副主席はです」
「動いていますか」
「マウリアにおいて」
「アウトカースト層の権利の獲得ですか、目的は」
「そして」 
 それに加えというのだ。
「社会進出です」
「今まで以上の」
「そしてもっと言えば」
「アウトカースト層こそがですか」
「マウリアの支配者になる様な」
「そこまでお考えですか」
「言うならば革命です」
 ジャバル、彼が考えていることはというのだ。
「マウリアの中での」
「アウトカースト層による革命ですか」
「そうです、アウトカースト層の主席となられ」
 彼等の政府のというのだ。
「そしてです」
「そこからですか」
「さらにです」
「今はマウリア政府とアウトカースト政府は統合され」
「マウリア政府の副主席になられましたね」
「そうでしたね」
「そしてです」
 そこからというのだ。
「マウリア政府の主席にもです」
「なられますか」
「そして」
 そのうえで、というのだ。
「そこからです」
「マウリアの社会変革ですか」
「革命ですね、それが」
「そうなのですか、フランス革命やロシア革命の様なものでなく」
「上からの革命になります」
「国家元首になられてなので」
「そうなります、しかしその革命は」
 それはというと。
「あの御仁は流血は考えていないですが」
「フランス革命やロシア革命の様な」
「そうしたものにはならないですが」
「アウトカースト層がマウリアの支配層となる」
「そうしたところまで目指した」
「革命ですか」
「アウトカースト層の為の」
「そうしたものですか」
「思えば」
 八条はバールにすき焼きの中の松茸を食べつつ言った、この時代では養殖が成功しておりすき焼きにも普通に入れられているのだ。
「アウトカースト層のことは」
「マウリアにおいて」
「連合では考えられないことです」
「彼等の何が不浄か」
「連合の者達にはわからないことですね」
「それは長官もですね」
「はい」
 松茸の風味、口の中のそれを味わいつつの言葉だ。
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