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子猿を救ってくれるのは
第一章

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                子猿を救ってくれるのは
 インドのヒマーチャルプラデーシュ州の動物保護区の一つビーパルファームレスキューにおいてである。
 一匹の雌の子猿が保護された、イギリスからこの保護区に動物保護の為に研究に来ている若い動物学者リチャード=オルコット大柄で長方形の顔でダークブラウンの髪の毛をオールバックにしている黒い目と太い眉を持つ彼は。
 アヴニと名付けられた彼女を見て不安そうに話した。
「病気は治りましたが」
「心の問題ですね」
「猿は群れで暮らす生きものですから」
 現地のスタッフに話した。
「それから捨てられた子猿は」
「危ういですね」
「はい、一匹で暮らすとなりますと」
「大変ですね」
「この保護区に同じ種類の猿はいませんし」
「それで、ですね」
「この娘はどうなるか」
 オルコットはアヴニの将来を真剣に心配した、だが。
 すぐに彼女のところに保護区に保護されている猫達の中からだった。
 一匹のグレーの雌猫が来た、ピロというその猫は。
 アヴニの傍によく来る様になった、時には彼女のケージの中に入り一緒に寝て。
「ニャ〜〜〜」
「キイ」
 まるで母娘の様になった、そして日々一緒に遊ぶ様になった、だがあまりにも元気な子猿相手にはピロはいささか相手しきれず。
 やがて二匹の中型犬が来た、一匹は黒と茶色の垂れ耳の雌犬でもう一匹は黒と白のやや垂れ耳の雄犬であった。
「ワン」
「ワンワン」
「キキッ」 
 二匹の犬達もアヴニと遊ぶ様になった、特に。
「雌はマンヌといいまして」
「雌だからですか」
「アヴニのもう一人のお母さんになってくれていますね」
「ピロだけでなく」
「はい、実はもう一匹のチンヌと姉妹でして」
「そうなんですか」
「他の兄弟姉妹達と一緒に捨てられていて」
 見ればアヴニと一緒にいない時は他の三匹と一緒にいることが多い。
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