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星河の覇皇
第八十三部第二章 撤退の果てにその十六

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「情を忘れるとな」
「人ではないですね」
「どうしても」
「だからですね」
「この度は」
「そうだ、駱駝の丸焼きを出し」
 イスラムの最高の馳走とされるこれがまず出た。
「そしてアラビアンナイトのバルマク家の様にだ」
「ふんだんにですね」
「豪奢なものを出して」
「そしてですね」
「楽しんでもらいますね」
「是非」
「そうしてもらう、あと酒は出せないが」
 銭湯前だからだ、これは無理だ。
「しかしだ」
「それでもですね」
「飲みものもですね」
「それもいいものを出しますね」
「甘いジュースにサイダーを出してだ」
 普段は食事の時にサハラではそうしたものは出さない、しかしだ。
「それでもだ」
「ここはですね」
「是非ですね」
「そうしたものを出して」
「飲んでもらいますね」
「食事に出してな」
 そしてというのだ。
「飲んでもらってな」
「そうした意味でもですね」
「英気を養ってもらいますね」
「是非」
「飲みものでも」
「そうしてもらう」
 アブーは飲みものの話もした、そしてだった。
 今は軍をフラームと共に防衛ラインにまで向かわせた、そうしてそのうえで施設も進ませた。それは次第にだった。
 進んでいた、そしてだった。
 ティムール軍の作業はかなり進んでいた、この状況は各国の観戦武官達も見ていた。そこでだった。
 あるタイ軍の士官は難しい顔で話した。
「無理がありますね」
「全くですね」
「どうにも」
「働かせ過ぎです」
「将兵達を」
「今のティムール軍は」
「苦境なのはわかりますが」
 それでもとだ、タイ軍の士官達はその士官の言葉に応えた。
「それでもです」
「一日十六時間の作業は過酷です」
「何日もそれを行っています」
「それではです」
「過労が」
 このことがというのだ。
「問題になります」
「全くですね」
「少なくとも連合軍では出来ません」
「そして我がタイ軍でも」
「連合のどの国でもです」
「それは無理なことです」
「ああした長時間の作業を強いるなぞ」
 こう言うのだった。
「突貫工事をしなければならずとも」
「それでもですね」
「将兵に過酷な労働を強いては」
「批判の的になります」
 世論だけではない、軍の中ひいては軍を監督し動かしている政府かつ政府をチェックする立場にある議会からもだ。
「そうなってはです」
「我々は非常に苦しくなります」
「以後満足に動けなくなり」
「どうしていいかもわからなくなります」
「そうなることは必定なので」
 それ故にだ、その士官は話した。
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