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神々の塔
第二話 冒険の準備その十

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「一切な、それにな」
「それに?」
「子供の夢を甘く見んことや」
 強い声での言葉だった。
「そんな弱いもんちゃうわ」
「強いものね」
「夢自体がな」
「そうね、夢はね」
 アレンカールもそれはと頷いた。
「強いものね」
「そや、何かを実現したいとかな」
「望みや憧れはね」
「強いもんや、夢をダイアモンドとしたら」
 これ以上はないまでに硬いそして美しいものに例えた、事実中里は夢をそうしたものだと考えている。
「そんな文章はカスや」
「その程度ね」
「そや、何もや」
 それこそというのだ。
「出来ん」
「夢に対して」
「それでそんなもん書いて悦に入ってるなら」
「下らないわね」
「ほんまにな」
「その通りや、否定ばかりで前に進めるか」
 芥川の言葉は厳しいものだった。
「言い掛かり、難癖、そんなもんばかりでや」
「先に進めるなんてね」
「ないわ」
 絶対にと言うのだった。
「実際シリーズ化しててもな」
「誰の役にも立ってへんわね」
「そや、トロイア戦争を実際にあると信じてや」 
 芥川は考古学の話をここでした。
「シュリーマンはトロイアの遺跡を発見した」
「ギリシア神話にあったあれをね」
「ライト兄弟は空を飛べると思ってや」
「人類がね」
「飛行機を生み出した」
 今度はこの話をした。
「ひいてはエジソンはや」
「あれだけの発明をしたわね」
「あんな空想科学だの言うてや」 
「そうしてね」
「あれは無理、これは不可能」
「今の科学でだけ言ってもね」
「しかも計算違いや作品の設定への勘違いや勝手な解釈もあってや」
 しかもその『今の科学』その輩が絶対にものと唯一神の様に信仰し根拠としているそれもと言うのだった。
「科学の知識も間違いが多いのでな」
「前に進めるか」
「そんな筈ないわ、そんなんばかり考えて書くなんてな」
 芥川はさらに言った。
「これ以上ないまでにや」
「無駄ね」
「そんな無駄なこと書いて生きてた」
「下らない人生ね」
「しょうもない人生や」
 今度は吐き捨てる様にしてアレンカールに話した。
「そんなおっさんにはなりたくないわ」
「前に全く進めへんで」
「誰の世の中の何の役にも立ってへんでな」
「それで夢を壊すと言っても」
「その夢もや」
 これもというのだ。
「壊すことの出来んな」
「全くの無力ね」
「そんなカスみたいな人生なんてや」
「送るもんやないね」
「働かんで勝手に自分がこの世で一番偉いと勘違いしてる奴みたいなな」
 その様なというのだ。
「カスみたいなや」
「人生ね」
「そや」
 まさにと言うのだった。
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