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平安の夜に
第二章

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「そうなるとな」
「果たして何か」
「見れば見る程わかりませぬ」
「全く以て」
「そうであるが」
 それでもとだ、君は話した。
「興があるな」
「ですな、実に」
「面妖でありますが」
「月灯りを受けつつ夜の空に舞う」
「それが実にです」
「よい、ここは一つ詠おう」
 こう言ってだった、君は。 
 和歌を詠った、それを短冊に書き終えた頃にはだった。
 もうそれは何処かに消えていた、その後は遅くまで風流を楽しんだが。
 次の日参内して帝にこのことを詠んだ歌を書いた短冊を出しつつ話した、すると丁度そこにいた学者がだった。
 君にだ、深く考える顔で言ってきた。
「それはかぐや姫のです」
「竹取物語のか」
「同じくです」
「月から来た者達か」
「その者達かも知れませぬな」
 こう言うのだった。
「大臣のお話を聞いて思いました」
「ではあれはかぐや姫を迎えに来た者達の車か」
「その類ではないかと、実はです」 
 学者は君に帝の御前でさらに話した。
「古来より時折空にそうしたものが出ます」
「球の様なものがか」
「昼でも出てです」
 そうしてというのだ。
「大臣が言われた通りにです」
「空を飛ぶのだな」
「右に左に上に下にと」
「そうであるか」
「そしてそれはです」
「月から来ておるか」
「かぐや姫の様に」
 月から来たというこの姫の様にというのだ。
「そうではないかと考えています」
「成程な」
「ふむ、面白い話であるな」
 帝も話を聞かれその座から言われた。
「ではこのことを書かせておこう」
「そうして後世に残されますか」
「かぐや姫と縁があるかどうかは朕にははっきり言えぬが」
 話を聞かれてもだ、それだけで断定は出来ないというのだ。
「しかし後世わかることもあろう」
「後の世の者達が学んでいき」
「こうしたことがあったと書き残して伝えるとな」
「それでは」
「そうしようと思うが大臣はどう思うか」
「よくお考えかと」
 君は帝に畏まって答えた。
「それではです」
「その様にしようぞ」
 帝は決められた、そうしてだった。
 源氏の君が夜に見たものは書き残された、そして今に伝えられる。今これは所謂UFOではないかと言われているがまだはっきりしていない。源氏物語の今で言う番外編の一つにある話をここに紹介させてもらった。少しでも多くの人が読んでくれるなら幸いである。


平安の夜に   完


                 2022・6・16
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