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茶の方が
第一章

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                茶の方が
 織田三郎信長はこの時都である公卿の屋敷に招かれて宴の中にいた、そこでその公卿が彼に酒を勧めようとしたが。
 信長は自分からだ、こう言った。
「いや、拙者は酒は」
「よいでおじゃるか」
「少し飲んだだけで潰れてしまい」 
 そうなってというのだ。
「頭が痛くなるので」
「お酒は駄目でおじゃるか」
「そうなので」
 まさにその通りでというのだ。
「遠慮致す」
「そうでおじゃるか、では茶はどうでおじゃろう」
 公卿は水を出すのもどうかと思い申し出た。
「そちらは」
「それなら」
 信長は一転して明るい顔になって応えた。
「お願い申す」
「では後で茶を煎れさせてもらうでおじゃる」
「茶は大好きで」
 笑顔でこうも言った。
「実は岐阜においても」
「飲まれているでおじゃるか」
「左様」
 まさにというのだ。
「茶は毎日」
「それも毎日でおじゃるか」
「好きなので」
「しかしそれでも毎日とは」
「茶器も好きでござる」
 信長は笑ってこちらもと話した。
「では酒は飲まず」
「茶をでおじゃるな」
「頂きます」
 こう言ってだった。
 信長は酒宴よりもその後の茶会を楽しんだ、彼はその時の方が上機嫌であり。
 公卿にだ、茶を飲んだ後でこう言った。
「では次は」
「茶をでおじゃるか」
「そちらを主に頼みます」
「酒はでおじゃるは」
「飲めませぬので」
「では馳走の後は」
「茶を」
 これをというのだ。
「拙者のところに来られたら酒を出しますが」
「織田殿はでおじゃるな」
「飲みませぬ」
「わかったでおじゃる」
 公卿も納得した、それでだった。
 再び信長を招いた時には茶会を主とした、信長は他の者に招かれた時もだった。
 酒は飲まなかった、飲んでも一口だけであり。
 後は茶であった、そして。
「織田殿は随分甘いものがお好きだな」
「うむ、柿がお好きだ」
「それに瓜も」
「果物が出ると喜ばれる」
「菓子なら尚更だ」
「そしてそこに茶があれば」
 そうであるならというのだ。
「非常に喜ばれる」
「勘気があり酒乱という話を聞いたが」
「しかしな」
「実は酒はほぼ飲まれぬ」
「菓子や茶がお好きとは」
「噂とは違うな」
「噂とは実にあてにならぬものだ」
 信長についてこう話された、そしてだった。
 その話が伴天連の宣教師達にも伝わってだった、彼等も。
 信長に南蛮の菓子を献上し茶も出した、するとだった。
 信長は喜んでだ、彼等に言った。
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