第四章
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「痛いわ」
「いや、痛くないだろ」
「ここまで振り返れよ」
「ソフトバンクどれだけ補強してんだよ」
「人材どれだけいるんだよ」
「そこで一人位いいだろ」
「それは欲張り過ぎるだろ」
クラスメイト達は咲の今の言葉に一斉に突っ込みを入れた。
「四軍まで作ったろ」
「ドラフトでも有望な人獲得してるだろ」
「それで一人取られてもな」
「充分過ぎるだろ」
「何言ってんだ」
「近藤さん獲得したからいいだろ」
「それでもよ」
咲はファンとして答えた。
「やっぱりね、田中さんは残念よ」
「というかプロテクトしきれないって何よ」
茜はそこに突っ込みを入れた。
「いい選手を」
「それだけうちの選手層分厚いのね」
「その分厚い選手層によ」
「補強しまくってるのね」
「育成もえげつないし」
「四軍にもなって」
「三軍でも大概だったのに」
他のチームから見てというのだ。
「それがよ」
「四軍までで」
「四軍が効果出るのはこれからでも」
今すぐではないがというのだ。
「けれどね」
「それでもなのね」
「充分ね」
それこそというのだ。
「えげつないし」
「そこに近藤さんね」
「そうよ、無茶苦茶凄いじゃない」
「だから田中さんはなのね」
「獲得出来てね」
日本ハムとしてはというのだ。
「いいけれどね」
「それで巨人じゃないから」
「怒ってないわよ」
「そうなのね」
「それに巨人だと」
この邪悪に満ちたチームはというと。
「プロテクトから漏れる選手なんて」
「あそこ育成に力入れてこなかったし」
三十年近くの間だ、他チームから選手を掠め取ることだけを考えて他のことには金も手間暇もかけてこなかったのだ。
「もうね」
「正直大した選手いないからね」
「選手層は薄いのよね」
これが自称『球界の盟主』とやらの実態である。
「これが」
「そうなのよね」
「だからね」
それでというのだ。
「巨人はね」
「ＦＡで選手強奪されても」
「こっちが得られるものなんて」
「大したものじゃないわね」
「もうショボッ」
茜は眉を顰めさせて述べた。
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