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夢幻水滸伝
第二百七十六話 摩天楼掌握その一

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                第二百七十六話  摩天楼掌握
 ジミー=メルヴィルはこちらの世界に来てすぐに声からあらゆることを聞いた、そのうえでだった。
 自分の横に神具であるキンググリフォンを出して言った。
「とりあえず自分とや」
「はい、何でしょうか」
「これから具体的にどうするか話そか」
「そうしますか」
「ああ、まさかな」
 メルヴィルは自分達がビルの屋上にいるのを見つつ言った、眼下そして周りには一九二〇年代を思わせる高層ビル群が並んでいる。
「こうした場所に出るとはな」
「ここはニューヨークです」
 ギリフォンは答えた。
「こちらの世界の」
「そうみたいやな、声から聞いたわ」
「左様ですか」
「今さっきな、それでや」
「これからどうすべきか」
「ちょっとな、来たばかりでな」
 こちらの世界にとだ、メルヴィルは考える顔で述べた。
「わしも思いつかんわ」
「そうですか、ですが目的はです」
 グリフォンは主に話した。
「おわかりですね」
「星のモンのやな」
「この世界を救う」
「それな、わかってるで」 
 メルヴィルはグリフォンに顔を向けて答えた。
「わしもな」
「ではそこからです」
「考えるとええな」
「はい」
 そうだというのだ。
「そうかと」
「そやな、世界を救うとなると」
 真剣にだ、メルヴィルは考えて述べた。
「やっぱりわし一人ではや」
「無理ですね」
「わしが幾ら星のモンでも特に強い神星の一人でもな」
「お一人ではですね」
「その力は限られてるさかいな」
 だからだというのだ。
「それでや」
「お一人ではですね」
「どうにもならん」
 こう言うのだった。
「残念ながらな」
「では今はです」
「ああ、力をやな」
「はい、蓄えるべきです」
「そやな」 
 メルヴィルはグリフォンの言葉に頷いた。
「ここは」
「はい、では」
「一人であかんのやったら皆や」  
 メルヴィルは考える顔になって述べた。
「それやと軍を持つか」
「軍ですか」
「ああ、そして軍を持つにはな」 
 腕を組み考えつつ話していった。
「一つの勢力にならんとな」
「軍を持てないですね」
「そやからな」 
 それ故にというのだ。
「まずはこのニューヨークをな」
「手に入れられますか」
「そうしよか、この世界でも大きな街で」
 高層ビル群が何処までも続いている、そしてその下に多くの人や車が行き交い実に賑やかなものだ。
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