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星河の覇皇
第八十三部第一章 防衛ライン到達その二十一

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「人は何の違いもない」
「どの様な立場でも」
「文民も軍人もな」
「全てですね」
「人間だ、職業がどうかでだ」
 それだけの違いに過ぎず、というのだ。
「同じだ、等しい」
「左様ですね」
「文民統制は軍をコントロールするものだ」
「その指揮権の問題ですね」
「軍人は官僚だ、だが政治家はな」
「近代国家の多くでは文民ですね」
「その文民はだ」
 まさにというのだ。
「政治家にもなる」
「閣僚として」
「そして軍を統括するが」
「これは官僚としての軍人をそうしますね」
「だからだ、それ故にだ」
「文民統制といっても」
「それはあくまで政治のシステムのことでな」
 それに過ぎずというのだ。
「文民が軍人より偉いか」
「そうしたことはないですね」
「閣僚と官僚は上下関係にある」
「仕事のうえで」
「それだけだ、他にはない」
 それ以上のものはというのだ。
「それで文民が偉いなどと言う言葉はな」
「間違っていますね」
「そうだ、サハラではこうした考えはないが」
 そもそも文民統制が存在しない国があった、軍人がクーデターで政権を掌握したりした国や現役武官制を導入している国があったのだ。かく言うアッディーン自身今も軍人である。
「しかしだ」
「他の国にはありますね」
「連合やマウリアにはな」
「特に連合でしょうか」
 シャルジャーは無意識のうちにこの国の名前を出した。
「やはり」
「あの国は中央政府も各国政府もだな」
「はい、全ての国がです」
「文民統制だな」
「国防を担当する閣僚はです」
「文民だな」
「そうでなければならないです」
 憲法にもそう明記されているのだ。
「どの国も」
「それでだな」
「この言葉を誤解し」 
 文民統制、英語ではシビリアンコントロールとなるこの言葉そしてシステムをというのだ。言葉を目にしての誤解は実によくあることだ。
「そのうえで」
「確かにな。連合ではだ」
「よくあることですね」
「そうだ、だが」
「だがといいますと」
「マウリアもだ」
 この国もというのだ。
「同じだ」
「あの国もですか」
「文民統制という言葉を誤解してな」
 そのうえでというのだ。
「文民である閣僚や国家元首が好き勝手をやる」
「軍人を下に見て」
「それがある」
「あの国も」
「そしてだ」
 さらにだ、アッディーンは言葉を続けた。
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