暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第八十三部第一章 防衛ライン到達その十六

[8]前話 [2]次話
「亡国への道だ」
「そちらに向かいますね」
「そうなる、実際に人を粗末にしてだ」
「兵器を大事にした国は」
「滅んでいる」
「このサハラでもですね」
「スターリンのソ連もそうだったな」 
 二十世紀のこの国もというのだ。
「あの国も」
「そうでしたね、兵器を守る為に周りに兵士を置く」
「戦車随伴兵だな」
「兵士の盾でした」
 その戦車随伴兵はというのだ。
「戦車への攻撃を防ぐ」
「そうだったな」
「その寿命は三日程度だったとか」
「戦車の周りにいる」
 その言葉の通りだ、車体に乗って砲塔の周りにもいたのだ、そして戦車から飛び降りて歩兵の責務を果たしたりもするが戦車の周りにいるので彼等に踏み潰される危険もある。これもまたリスクであったのだ。
「そこに攻撃が来ればな」
「まず彼等が犠牲になりますね」
「戦車が人を守るではなく」
「人が戦車を守る」
「そうした本末転倒な事態になっていてだ」
「多くの兵士が犠牲になりましたね」
「他には地雷原を歩かせていた」
 これもソ連軍の戦術だった。
「懲罰大隊にな」
「犯罪者の部隊でしたね」
「共産党に反抗的だったりしたな」
 当時のソ連ではそれが犯罪者になったのだ。
「後は党員に睨まれたり任務に失敗した」
「そうした者達が懲罰大隊に入れられて」
「地雷原を歩かされたりもしていた」
「地雷を除去するのではなく」
「兵士を歩かせてだ」
 後ろには督戦隊がいて少しでも退こうものなら容赦なく射殺していた。
「地雷をなくしていた」
「本来は除去しますが」
「そうしたこともだ」
「ソ連ではなかったですね」
「それがあの国でだ」 
「人を徹底的に粗末にし」
「戦争には勝った」
 その圧倒的な物量そしてアメリカの援助を使ってだ。
「それは出来た」
「しかしですね」
「その内実はな」
「多くの人口を失い」
「国家運営に深刻な支障をきたした」
 そうなっていたのだ。
「そしてだ」
「結果として」
「ソ連はそれから三十数年で崩壊した」
 第二次世界大戦が終わってだ。
「そうなった」
「冷戦では一方の雄でしたが」
「それが実はだ」
 その内情はというのだ。
「恐ろしいまでの戦死者を出してだ」
「その損失を埋められなかった」
「二千万も死んだ」 
 その前にスターリンの粛清もあった、それでソ連の人口は激減し社会構造にも産業にも悪影響を及ぼしていたのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ