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俺様勇者と武闘家日記
第2部
ダーマ
シーラの意志
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「待って、シーラ!! 一体どこに行くの!?」
 先に走り出したシーラたちを追いかける、私とユウリ。
 私の制止も聞かず彼女は、広大で迷路のような廊下を迷うことなく突っ走ると、誘われるようにとある部屋へと入っていった。
「シーラ、戻れ!! 今次期大僧正にお会いになれば、どうなるかわかっているのか!?」
 遥か後ろからは、門番のノールさんまでもが追いかけてきている。次第に騒ぎを聞き付けて、転職者や他の僧侶たちもやってきた。
 シーラが入っていった部屋は、書庫のような場所だった。広い室内には膨大な数の本が棚に並べてあり、一冊残らず整頓されている。
 だが、その部屋にはあいにく誰もいなかった。シーラはここにマーリンがいると思っていたのだろう。それでも彼女は諦めず、部屋から出た。
「どうした? 騒々しい」
 すると、ちょうど廊下を歩いていたであろう男性が現れ、突然シーラが立ち止まる。
「父様!!」
 目の前にやって来た人物を見て、シーラが声を上げた。父様と呼ばれた男性は、シーラの弟とおぼしき人物と似たような格好をした中年の僧侶だった。だが彼は、娘であるシーラの顔を見た途端、厭わしそうに顔を歪めた。
「もうここへは二度と来るなと言ったはずだが?」
「違うの! 今回はマーリンと話をするために来たの!!」
「どんな理由があろうと、お前がこの聖なる場所に足を踏み入れることは許さん」
 そう冷たく言い放つと、シーラのお父さんは周りにいる他の僧侶たちに目配せをした。そして、一斉にその僧侶たちがシーラを取り囲んだのである。
「シーラ!?」
 一体どういう状況なのだろう。今すぐにでも助けに行きたいが、こんな大人数に囲まれたシーラを助ける手段が思い付かない。
「おい、シーラを離せ!!」
 ナギがシーラを拘束しようとする僧侶たちの手を振り払おうとするが、すぐに他の僧侶に取り押さえられ、二人とも身動きができない状態になってしまった。
「シーラ、ナギ!!」
 たまらず私は彼らを助けようとするが、いつの間にか隣にいたユウリに止められる。
「下手に動くな。もう少し様子を見るぞ」
「うっ……」
 ユウリの言うとおり、確かに今の状況で動けば、こっちまで捕まってしまう。
 ……いやでもさっき、思い切り呪文で扉を破壊してたよね?
 私は小さなツッコミを胸にしまい込み、ひとまず固唾を飲んで見守ることにした。
「父様、聞いてください!! 『悟りの書』は、一体どこにあるんですか!?」
「なっ……!? 『悟りの書』だと!?」
 その言葉に、シーラのお父さんは動揺の色を露にした。
 ……『悟りの書』って、一体何なのだろう?
「なぜお前ごときが『悟りの書』のことを聞く!? お前には一切関係のないことだろう!!」
「いいえ!! あたしは悟りの書を手に入れて
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