暁 〜小説投稿サイト〜
剣の丘に花は咲く 
第五章 トリスタニアの休日
第六話 キス!?! キス?!? 
[14/14]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
、顔を向けることなく応える。

「そうだ、ねずみの一匹で、アルビオン産のねずみだ。商人のふりをしてトリステインに潜み、情報をアルビオンに送っていたのだ」
「ふ〜ん、つまり間諜っていうわけね。なら、捕まえたからこれで終わりなの?」
「いや、違う」

 ルイズと話しながらアニエスは男の頬を叩き、男を目覚めさせる。

「まだ親ねずみが残っている」

 自分の今の状況を素早く把握した男は、焦ることなく見下ろしてくるアニエスを見上げた。そんな男にアニエスは手に持った紙を突きつける。

「これを見ると、貴様たちは劇場で接触していたようだな? 先程貴様に届いた手紙には、『明日例の場所で』と書かれていたが、それはこの見取り図の劇場で間違いないな」

 アニエスが持つ紙には、建物の見取り図が描かれており、それには何箇所か印がつけられていた。
 男は何も答えず、ただじっと黙ってアニエスを睨みつけている。

「答えぬか……まあ、それもいいだろう」

 アニエスは男に凍りつくような冷笑を向けると、残ったもう一本の手で拳銃を男の額に突きつけた。

「三つ数えるうちに選べ。話すか死ぬか」

 ガチリとアニエスが撃鉄を起こし、男の額に汗が滲む。
 そんな男の様子にますます笑みを濃くしたアニエスは、横目でルイズを見やると、微かに震える声を男に掛けた。

「実は今、体調が優れなくてな……手が震えている……早めに決めてくれないと、数えきる前に撃ってしまいそうだ……」

 ふるふると銃を持つ手が震えているのに気付いた男に対し、さらにアニエスは言葉を続ける。

「……割と真剣に切羽詰っているんだが……どうする……」




[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ