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くらいくらい電子の森に・・・
第一章
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う11時間すね…あはは」
「……普通に深夜バイト入れてたら、倍額以上稼げてね?」


「…………そのとおりです」


がっくりと肩を落とした。
本当に……本当にそのとおりだ……
僕だって「11時間」と聞いた瞬間、まわれ右で帰ろうと思った。でも
『約束…したのに。ひどい……』
とうち沈んだ顔で俯かれてしまい、後に引けなくなってしまったのだ。

でもあとで考えてみれば、僕は『5000円で11時間寒風に晒される』約束なんてしていない。

なんで僕はいつもこうなんだ…。なんかもうイヤになって、膝に顔をうずめた。
「ひでぇな、その友達。ていうか友達か?そいつ」
「………どうなんでしょうね……僕はどう思われているのでしょうね」
「パシリ」
……そのとおりだ。もう何を言い返す気力もない。会話が切れたので、あったかいおでんを口に運ぶ。柔らかく煮込まれた大根が、口の中でつぶれる。だし汁がじわーっとしみだしてきて、からっぽの胃に落ちていく。……なんかもう、情けないけど涙が出てきた……

……そういえばこの人は、僕のためにおでん缶を調達してくれたのだ。自分のことでいっぱいいっぱいで、お礼を言うのも忘れていた。

あらためて、男の横顔を見上げる。男はこちらを見ない。…僕が泣きそうな気分になっているのに勘付いて、見ない振りをしてくれているのか。僕よりちょっと上くらいなのに、随分しっかりしている。…視線を落とすと、黒いコートの袖口にキラリと光るものが。よく見ると

「……ガボール……」

男と目が合いかけたので、咄嗟にガボッ、ガボッとむせ込んでいる振りをした。何で僕はいつも余計な事を口走りそうになるのか。
 一瞬だったけど間違いない。あの袖口に見えたのは、なんか笑う骸骨で有名な、ガボールのブレスレットだ!20万くらいするやつだ。今週のポパイで特集されたばかりだから、よく覚えている。…本物だろうか。
 まぁいい。興味ない。『人畜無害』は僕の基本スタンスであり唯一の処世術だ。髑髏とか、少しでも悪そうに見えるアイテムは極力遠ざけることにしている。自分でもビックリするくらい、羨ましさを感じない。

<i245|11255>

おでんも食べ終わったし、開店までにはまだ時間もある。少し話しかけてみることにした。
「お兄さんは、なんで並んでるんですか」
「まぁ、そうな……転売、とか?」
ガボールの男は一瞬、肩を震わせた。
「買ったら即ヤフオクに出品?」
「あー…まぁ…な…」
「夜を徹して並ぶモチベーションを得られるほど、高額になるんですか、これは。1人1本なんでしょう」
「5000円で並ぶお前に言われたかないが…なにしろあれは業界初だからな!」
「業界初?…ていうかなんでこんな行列できてるんですか」
「そんなことも知
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