第二話 来訪その十一
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「そうよね」
「人は目を見ればわかるというな」
「そうよね」
「今のあいつの目は昔より鋭くなって人を寄せ付けないものになっているが」
「それでもよね」
「いい輝きを放っている」
「そうよね、私も思ったわ」
小鳥はまた答えた。
「その目の光はね」
「悪いものじゃなかったな」
「全くね」
「悪い奴は目が濁っている」
封真はその場合の話もした。
「そして荒んでいる」
「神威ちゃんの目じゃないわね」
「そうだな」
「ええ、お兄ちゃんの言う通りにね」
「悪い光は放っていないな」
「むしろ純粋で強い」
「そうした光だな」
小鳥に問う様に言った。
「そうだな」
「そうね、それじゃあ」
「大丈夫だ」
封真はさらに話した。
「また言うがな」
「神威ちゃんは神威ちゃんのままで」
「俺達はまただ」
「昔通りに仲良くなれるわね」
「父さんの言う通りにな」
父の言葉も思い出して述べた。
「きっとな」
「そうなるわね」
「そうだ、じゃあな」
「行ってらっしゃい」
小鳥は笑顔で送った、封真は自宅から自転車で軽く出発した。その頃空汰もビルからビルまで跳びながらだった。
神威のアパートに向かっていた、そして。
その傍の建物の屋上まで来たがあるマンションの貯水タンクの上にだった。
スーツにコート姿の遊人を見てだ、こう言った。
「悪い印象は受けへんが」
「僕もですよ」
遊人も空汰に気付いて彼に顔を向けて笑顔で応えた。
「君はいい人ですね」
「そやな、お互いに善人と言うてええな」
「僕は仮面を被っているかも知れませんよ」
「それでも目を見ればわかるわ」
空汰は笑って応えた。
「あんさんの目は優しく明るいわ」
「そうした目ですか」
「悪人の目やない」
空汰は断言した。
「それがわかるわ」
「そう言われると照れ臭いですね」
遊人はくすりと笑って述べた。
「本当に」
「そうなんやな」
「確かに僕は無闇な殺生はしません」
自分で話した。
「そして人が幸せになりますと」
「嬉しいな」
「不幸になりますと」
「悲しいか」
「はい」
「それが自然やな」
まさにとだ、空汰は話した。
「けどその自然にや」
「思うことがですね」
「それ自体がや」
まさにというのだ。
「兄ちゃんが善人である証拠や」
「そうですか」
「けどな」
それでもとだ、空汰はここで一呼吸置いた。そのうえで帽子の上から右手で頭の後ろを掻きつつ述べた。
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