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第二話 来訪その二

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「本当に」
「まあ過ぎたことだしな」
「仕方ないさ」
「桃生もわざとじゃないし」
「それじゃあな」
「そう言ってくれるんだな」
 封真は周囲の優しさに感謝した、そしてだった。
 校庭の一年生の授業がふと目に入った、そこでだ。
 自分に負けない身体能力を発揮して野球の授業でピッチャーをしている神威が目に入り驚いて言った。
「あいつ、うちの学校に来たのか」
「ああ、一年の転校生か」
「今日転校してきたばかりだったな」
「凄いボール投げるな」
「あれだと阪神にも入られるな」
「一五〇出てるな」
「カーブもシュートもキレがいいしな」
 周りは神威についても話した。
「野球部にスカウトされるかもな」
「そうだとすると甲子園も夢じゃないな」
「フォームも奇麗だし」
「素直に期待出来るな」
「ああ、そうだな」
 封真は周りに合わせて応えた。
「凄い奴だな」
「そうだよな」
「本当に阪神に入って欲しいぜ」
「これでヤクルトにも勝てるな」
「ノムさんなんてメじゃないぜ」
 こんな話も出た、それでだった。
 二人は家に帰るとだ、それぞれ話した。
「神威ちゃん来たわね」
「俺達の学校にな」
「まさかと思ったけれど」
「俺達の学校に来るなんてな」
「お父さんは運命って言ったけれど」
「これがか」
「いや、まだだ」
 二人で夕食の用意をしているがちゃぶ台を拭きつつだ、鏡護は話した。
「運命はまだはじまったばかりだ」
「そうなの?」
「まだなんだな」
「そうだ、ほんのだ」
 こう子供達に話した。
「入口に来たばかりだ」
「じゃあこれからか」
 封真は父に顔を向けて言った。
「俺達の運命は」
「動くのはな」
「そうなんだな」
「だがお前達なら大丈夫だ」
 鏡護は微笑んで話した。
「必ずな」
「俺達ならか」
「そうだ」
 確かな声での返事だった。
「封真、お前も小鳥もそしてだ」
「神威ちゃんもなのね、けれど」
 小鳥はエプロン姿で言った、膝までのクリーム色のスカートに赤いセーターでその上にエプロンを着けている。
「神威ちゃん何か」
「寄せ付けないか」
「そんな感じだったわ」
「そうだろうな」
 鏡護はそれはと応えた。
「やはり」
「やはりって」
「そうなることがだ」
 それがというのだ。
「当然だ」
「そうなの」
「今の神威はな」
 彼はというのだ。
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